満足度★★★
正統派SF演劇
有名なSF映画・漫画へのオマージュを感じる、時間的スケールの大きな作品でした。
地球外生命体がいる星へ350年の時間を掛けて向かう宇宙船の中で繰り広げられる物語で、被支配階級による革命や自由による退廃、孤独と狂気の長い年月、物語の存在意義といった要素がテンポ良く描かれていました。
SF物を舞台で上演しようとすると時間や空間の制約から安っぽくなりがちなのですが、そうはならずにSFらしい雰囲気が出ていて良かったです。
革命後、享楽的に生きる人々が壊れたファッションと言語になり、音楽もそれまでのクラシックから切り替わるのがインパクトがありました。
「実年齢」と「表層年齢」という設定がストーリー上であまり活かされていなくて、作品中で何十年過ぎても外見が変わらないことの理由付けの為だけにその設定が用いられているように思えたのが残念でした。
台詞を叫んだり轟音が響く場面が多過ぎる為に音的に飽和状態となっていて、その効果が感じられずにうるさいだけになっていたのが勿体なかったです。感情の高まりは大声だけでなく、沈黙や敢えて淡々と普通に話すことでも表現出来ると思いました。
天井まで作り込んだ真っ白い空間がレトロフューチャー感を醸し出していました。分割式の円環状のテーブルが場面毎に異なる配置・形状で使い回されていたのが良かったです。