『木馬の鼻』第三公演都市≪名古屋≫ 公演情報 劇団唐ゼミ☆「『木馬の鼻』第三公演都市≪名古屋≫」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    城山八幡宮での野外公演
    谷也(たにや)は、デパートの屋上の遊園地の清掃係。毎日、遊具についたハトの糞をきれいに拭くのが彼の仕事。仕事から帰宅すると、谷也は箪笥の中に彼の姉が設えてくれた箪笥ベッドに籠り、一人空想の世界で遊ぶことを密かな楽しみとしていた。そんなある日、翌日に子供たちがたくさん訪れるというのに、メリーゴーランドの木馬の鼻に付いた糞を拭き忘れるという、重大なミスを犯したまま帰宅してしまった。激しく自責の念にかられる谷也を追い立てるように、デパートの専務と遊園地の園長が木馬を連れて谷也の元へとやってくる。そして、そこから奇想天外、 抱腹絶倒のストーリーが展開する。

    ネタバレBOX

    谷也は、箪笥屋を営む姉と二人暮らし。姉は、隣のラーメン屋の男といい仲になっている様子。平和に暮らしていた二人に、降って湧いたような立ち退きの話が持ち込まれる。そのわけは、デパートの遊園地までの一本道を作るために、あたり一帯を区画整理するというのだった。それも、町内会長である喫茶ピサロの店長が勝手に決めた話だった。谷也と姉は、立ち退きの印鑑を押したくなくて、隣のラーメン屋を伴い、谷也の箪笥の中から、彼の理想郷である古代インカ帝国のマチュピチュへと向かう。その冒険の旅の中で、谷也は様々な体験をし、逞しく成長していく。最後には、彼の空想の入り口としていた箪笥を壊されてしまうけれど、谷也はめげずに現実に立ち向かっていく。谷也とは「谷なり」という意味で、彼自身がマチュピチュへの入り口だったのだ。
    神社の境内を効果的に使った演出で、ラストは舞台崩しとなり、トラックが二台繋がれてできた舞台が左右に分かれ、周囲に張り巡らされた幕が落ち、大きな馬に乗って谷也は生き生きと駆けて行ってしまった。壮大な冒険物語は、爽快に幕を閉じた。
    冒険の旅の途中で、登場人物たちとの面白おかしいやりとりは、無条件に笑えます。隣の年配のご婦人二人が、「昔は、こんなお芝居、よく観たわよねぇ。おもしろいわ〜」とおっしゃっていましたが、古き良き時代の芝居小屋にいるような、そんな楽しい雰囲気でした。50〜60人いた観客の年齢層は熟年以上が多く、若いカップルやお子さん連れの方もいらっしゃいました。でも、どの年齢層の方も素直に笑える、楽しいお芝居でした。横浜国大の唐ゼミナールから発足したというこの唐ゼミは、横国出身の演出家や看板女優の方が中心となって活動しているようです。前座のパフォーマンスも、横国の現役学生の方たちで構成され、本編とクロスする内容での歌とお芝居で雰囲気を盛り上げてくれていました。上演する場所に合わせて、地方ごとに少しずつ変わるという演出も見ものです。谷也たちと一緒に、冒険の旅を満喫しました。

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    2014/09/28 07:12

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