満足度★★★★★
背中がやばい…
池袋シアターグリーンにて劇団AUNの「有馬の家のじごろう」を観劇。
シェイクスピア専門の劇団、どうせならシェイクスピア作品が観たかったなんて気持ちは一瞬で吹き飛んだ。
演劇界の生ける伝説、吉田鋼太郎さんの全身全霊、それに一所懸命に答える劇団員の方々。
生きてた。
人物が確かに生きてた。
そりゃあもう生き生き生きてた。
吉田鋼太郎さん、あんなに台詞が素敵な役者さんなのに、物言わぬ背中に、ふとした微笑みに、言葉以上に胸を打たれた。ずるい。
シェイクスピアを置いてこの台本を使ったこと、さもありなん!って思えるハマり具合い。
家族の話。
親子の話。
子供たちを全身全霊で愛するお父さんの話。
薩摩弁。
潔さと愛嬌と独特のリズム感が堪らない。
演技に切れ目が無い。
台詞が無くても芝居が続いてる。
当たり前のことだけど。
長く続いてきた劇団ならではのアンサンブル。
ボールは確かに受け渡されてるけど、余りにもパス回しが早くて、作為が見えなくなってる。
本当の親戚の集まりを覗き見してるみたい。
特に主役級の役者陣のvividな躍動感はもうどうしようもないくらい圧倒的だった。
吉田鋼太郎の声と生命力と愛で空間が満たされてた。
どうしようもなく愛してしまう。ああ良い役者ってそうだよなあって思い出した。