蝶のやうな私の郷愁 公演情報 劇 えうれか「蝶のやうな私の郷愁」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    【cキャスト】観劇
    随所に松田正隆さんらしさが見られました。

    ネタバレBOX

    台風の夜のサラリーマンと妻が住むアパートの一室が舞台。会話が進むうちに夫の先妻が不治の病に罹り、その頃から夫は先妻の妹と付き合い始め、先妻が事故か自殺か踏切事故で死んだ後に正式に再婚したことが分かります。

    台風で停電になって真っ暗な中、ロウソク一本の明かりで演じられた芝居は素敵でした。

    自分が死んだ後の後妻選びの主導権を握りたいという気持ちと、自分が選んだとしてもそれでも嫉妬心が残るという死に行く先妻の感情を描くところは松田正隆さんらしい、まさに原点だと思いました。

    自分の知らない女性が後妻になることは許しがたく、先妻の仕組んだ通りに進んだのかもしれませんが、それでも嫉妬していたのでしょう。

    出掛けるときには外の雨音が聞こえましたが、帰ってきたときは何の音も聞こえませんでした。台風の中を川の様子を見に行った夫が幽霊になって戻って来て、あるいはうとうとしていた妻の夢想か、死んだ夫が妻にこれからアパートが流されることを告げると思わせるところなども松田さんらしい特徴の一つです。

    出掛ける前にラジオを聞けば良かったのにと思いました。1989年の初演当時は電池式のラジオが主流だったとは思うのですが、停電でラジオが聞けなかったことも悲劇の原因でした。

    少しねじれた関係の男女と、日常に非日常が入り込む手法には慣れてきましたが、関係を探る楽しみと不思議感覚が味わえるので今のところ好きです。

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    2014/09/11 15:33

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