蝶のやうな私の郷愁 公演情報 蝶のやうな私の郷愁」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.0
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  • 満足度★★★★

    鑑賞日2014/09/10 (水)

    渋谷ヒカリエの5階、茶庭 然花抄院(ぜんかしょういん)で「京のぶぶ膳」ささっとかけこんでから、明治通りを南へちょこちょこ。とあるビルに入って、エレベーターで4階に上がったら…ハーモニカの奏でる童謡のメロディが耳に流れてきました。
    まさしく4畳半に敷かれた畳に、ちゃぶ台がポツン。その端には衣装ダンスが横並びに2さお。それに寄りかかったまま動かない、華奢な背中のパジャマ姿の女性…(後はネタバレboxにて)

    ネタバレBOX

    夫が帰宅すると、夫婦の間で、淡々と続くテニスのラリーのように、でも穏やかな口調とは裏腹な、二人の役者さんによる、言葉の真剣勝負が交わされるんです。
    ろうそくが灯るだけの空間は、風雨で荒れ狂う部屋の外、無視するかのように、お通夜の晩のごとき静けさ。
    その場には、夫と妻。そして、踏切事故で逝った妻の姉も、部屋の端にたたずんでいるように感じられます。
    芝居が終わるまでの70分、これほど神経を研ぎ澄まして、互いのセリフに集中を強いられたのは初めての経験でした。
    小林英樹さんに花村雅子さん、お二人の役者さんの力演に心からお礼申し上げます。
  • 満足度★★★★

    忘却の彼方から。
    松田さんの本でコレは知らないなぁと思って観始めたんだけど、蝋燭の火を見ていたら、2006年の燐光群+グッドフェローズ プロデュース版、あのセットの下に水が張ってあった奴を観ていた事を思い出す。何で忘れてたんだろう、こんなにいい作品を。

  • 満足度★★★★

    【cキャスト】観劇
    随所に松田正隆さんらしさが見られました。

    ネタバレBOX

    台風の夜のサラリーマンと妻が住むアパートの一室が舞台。会話が進むうちに夫の先妻が不治の病に罹り、その頃から夫は先妻の妹と付き合い始め、先妻が事故か自殺か踏切事故で死んだ後に正式に再婚したことが分かります。

    台風で停電になって真っ暗な中、ロウソク一本の明かりで演じられた芝居は素敵でした。

    自分が死んだ後の後妻選びの主導権を握りたいという気持ちと、自分が選んだとしてもそれでも嫉妬心が残るという死に行く先妻の感情を描くところは松田正隆さんらしい、まさに原点だと思いました。

    自分の知らない女性が後妻になることは許しがたく、先妻の仕組んだ通りに進んだのかもしれませんが、それでも嫉妬していたのでしょう。

    出掛けるときには外の雨音が聞こえましたが、帰ってきたときは何の音も聞こえませんでした。台風の中を川の様子を見に行った夫が幽霊になって戻って来て、あるいはうとうとしていた妻の夢想か、死んだ夫が妻にこれからアパートが流されることを告げると思わせるところなども松田さんらしい特徴の一つです。

    出掛ける前にラジオを聞けば良かったのにと思いました。1989年の初演当時は電池式のラジオが主流だったとは思うのですが、停電でラジオが聞けなかったことも悲劇の原因でした。

    少しねじれた関係の男女と、日常に非日常が入り込む手法には慣れてきましたが、関係を探る楽しみと不思議感覚が味わえるので今のところ好きです。

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