満足度★★★
自意識は世界とどう対峙したらよいのか? について
見事に非生産的な作品だが、作家さんが若い頃は、小劇場の特性でこう言う作品が出てくるのも、面白さではある。但し、世の中に対する鎧として一人称世界は大して有効性を持たないということは言っておくべきだろう。戯曲は、古来から詩と並んで文学を代表する言語表現である。そして、それが、普遍性を持つのは、唯、三人称で語られた、或いは、書かれた場合だけだ。A la recherche du temps perduだって、話者Jeの構造は、客観化されることによって三人称化されているのである。絶対メジャーになんかなるか、との反発が在るのかも知れないし、それはそれで、ある時期通る通過点でもあるだろうから、深く追求しないが、ではなぜ、書くのだろう?
観る人によって大きく評価が変る作品だろう。嵌るヒトにとっては最高、と成り得る作品ではある。