満足度★★★★★
「見せたい」舞台
今回は「子どもに見せたい舞台」とのことで、どんなお芝居になるのか楽しみでしたが、子どもがいるからといって決して甘やかしたりしない、本格的な舞台が用意されていました。
マクベスは元より、たくさん人が死に、とても笑って見ていられるようなお話ではありません。「子どもに見せたい舞台」という冠がついたところで、ストーリーは変わりませんでした。
子どもに本格的な観劇体験をさせたいと考えていても、小さなお子さんは入場できない舞台もたくさんあります。きれいな日本語のセリフで、本格的な芝居とダンスを見せたいと思う親御さんがいたら、間違いなく貴重な機会だと思います。
そしてもちろん子どもだけでなく、普段はお子さん連れでの観劇が出来ないとお悩みの方にも、有難い舞台なのではと思います。
こんなに本格的で、子どもは大丈夫なの?と心配しましたが、面白いシーンではしっかり笑っていましたし、自分なりに分かるところを味わっている様子でした。
特に驚いたのは、いよいよクライマックスといったシーンで、前列の子どもが「もう終わりなの?」と発したこと。
古典名作なのでストーリーを知っている観客も多い中、初見である子どもまで、同じような体感で拝見できる工夫がされているのかと大変驚きました。
初日を観劇し、二日目も当日券で拝見しました。
セリフは坪内逍遥訳を使っているそうで、大人であっても耳馴染みのない言葉が出てきます。しかしその都度説明が入ったり、身振りで意味を表すなどの演出が分かりやすく、不安なく見ることが出来ました。
マクベスといえば、重たく苦しく、沈んだ気持ちで劇場を出ることが定番ですが、これは「楽しかった!」と弾んだ気持ちで出てこられるのでとっても不思議でした。