パフ 公演情報 劇団しようよ「パフ」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    パフとゴジラ
     若者らしいリリックな感性で捉えられた作品だが、無論、このタイトルはPPMのヒット曲“パフ”に因んだものである。原曲では、寂しさに孤独をかこつのは、龍のパフであるが、今作では、これが反転している点も見逃せない。だが、今作には、矢張り、子供の遊び相手のような人形が登場するのも事実である。勘の良い型には既に察しがついたかも知れないが、続きはネタバレに回すとしよう。

    ネタバレBOX

      メインストリームは、大災害に遭った兄妹が、大切な人を失い故郷の島を離れて喧騒渦巻く都会暮らしを余儀なくされているのだが、未だ、若過ぎる二人には、役所に申請を出して何らかの生活資金を援助して貰う以外、生活の目途は立たない現実が横たわっており、その厳しい現実から逃れる為のアイテムとして故郷の人々に擬した人形が必要とされているのである。このことは、後半になって漸くちらっと明かされるだけなのだが、それ迄は、故郷での暮らしが人形と役者の混交した所作で語られ、形作られてゆく。子供達の宿題には、街の探検が含まれ、その探検と郵便屋さんや歯医者さん、市長、街の名物おばさん、魚屋さんや学校の先生等々の人々、クラスメイト等の逸話が含まれ、災害が来た時の様子が、描かれていたから、それとの対比になるわけだ。災害はひとまず火山の爆発ということになっているが、その災害が人々を襲う時には、黒い龍、ゴジラの形をしているので、3.12を当然示唆してもいよう。一見ファンタスティックで、リリックなおとぎ話に見えて、実は、被災後の長く苦しい避難生活や、一向に先の見えない政府・東電の愚にもつかぬ無策に傷つけられる民衆の姿を描いて鋭利である。

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    2014/08/16 02:35

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