If I Were You~こっちの身にもなってよ!~ 公演情報 加藤健一事務所「If I Were You~こっちの身にもなってよ!~」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★

    コメディにしては、1幕が冗長
    アラン・エイクボーン原作だし、カトケン事務所だし、キャストもいいしで、久しぶりに、大いに笑わせて頂きたいと、期待度マックスで、劇場に向かったものですから、1幕の、家族状況説明に終始する舞台進行には、ちょっと肩透かしを食った感が否めませんでした。

    2幕になると、ようやく展開が楽しくなって、楽しめます。

    コメディの中に、少し、娘夫婦のビターな問題も織り込み、所詮、男と女は、立場を代える経験でもしない限り、永遠に解り合えない関係だということを、作者が少しの皮肉と、ユーモアで、提示した作品のように、受け止めました。

    役者さん達は、皆さん好演されていますが、演出が、杓子定規で、もう少し、遊び心に満ちていたら、さぞかし、面白くなったでしょうにと、残念に思います。

    ネタバレBOX

    開幕直後、妻のジルが、夫の入った後のトイレの状況に悲鳴を上げる気持ち、とても共感してしまいます。

    どうして、男って、家族に女がいるのに、便座を下すことをしないんでしょう?
    こういう日々の男の配慮のなさに、女は、常にイライラするんだけど、男の方は、女が常にイライラしているのは、全く自分には無関係なこととしか捉えられないんでしょうね。

    今でも、ダブルベットで、寝起きしているマルとジルの中年夫婦は、世間から見れば、非常に仲睦まじいカップルで、何の問題も抱えていないように見えますが、お互いの心の中では、相手へのこうした些細な不満が蓄積して、日常生活に疲弊している現状。

    1幕は、この二人の夫婦と、高校生の息子と、夫の部下と結婚した娘の家庭事情が、ある1日の日常スケッチで、詳細に観客に提示されます。

    1幕ラストで、共に感情を共感できないまま、背中を向けて、眠りに入った夫婦が、翌朝起きてみると、何と互いの体が入れ替わっていて、ビックリ仰天というところで、休憩へ。

    2幕は、その場面から、翌朝の展開に導入され、ようやく、コメディ舞台の楽しさに溢れた空気に一転しました。

    二人は、仕方なく、夫は、家で慣れない家事や、息子の芝居稽古の相手などをして、一方、妻は、夫の振りをして、久々に外に働きに出かけて、自分の采配の才に気付いたりします。

    こうして、体が1日だけ、チェンジしたことをきっかけにして、お互いに相手の身になって考えることができて、ジルとマル夫婦に関してはめでたしめでたしなのですが、若い娘夫婦の方には、徐々に暗雲が垂れ込め始めています。

    どこの家庭でも、多かれ少なかれ、こういう男女の生まれながらの性差から生じる不幸な出来事は、枚挙にいとまがないもの。世の中に男女がいる限り、永遠の命題なのかもしれません。

    この芝居のように、お互いの体を交換するなんて、無理なんだから、家族が仲良く生活を営むためには、お互いの身になって、相手の気持ちを想像する努力を続けるしか、家族崩壊のシナリオから、身を守る手立てはないのでしょうね。
    最近の自分の心情から、そんなことばかり考えて観ていたので、余計、舞台を呑気に楽しむ気分にはなれなかったような気もしなくはありません。

    平均すれば、実に楽しい舞台でしたが、ただ、夫の振りをして、部下を接待した妻が、飲酒運転を平気でするというストーリー設定には、不快な思いを禁じ得ませんでした。

    これだけ、無謀運転のせいで、いたいけな命が奪われている世の中、たとえ、あり得ないコメディ作品であっても、そういう人間の常識を逸脱する設定は、翻訳の段階で、変更する良識が必要だと感じます。

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    2014/08/14 11:56

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