殉職の夢を見る 公演情報 アフリカン寺越企画「殉職の夢を見る」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    文句なしの○
    観劇後、アンケート用紙に“アフリカン寺越の演技”をまた観たいと思えば○、
    そうでなければ×をつけて、○が過半数なければ次の舞台は無いものとする、
    という崖っぷち企画。

    もし×でも、また仕切り直して新たに企画を練り上げるまでだと思うが
    ご祝儀アンケートではなく、文句なしの○をつけた。
    題材の選び方が巧いのと、脚本の完成度が高いことが理由。
    開演後まもなく、この小さな空間の役割と人間関係がすんなり理解出来て
    話の展開にずいっと入り込める。

    閉鎖的な社会における特異なキャラクターに寄り添うスタンスが優しく
    作者の取材の賜物だと思うが、役者陣も難しい設定によく応えて素晴らしい。
    例によって“善い人・悪い人・普通の人”の境界線をクールに描く視点が鋭く
    この点でも進化していると感じた。

    ネタバレBOX

    ゴールデン街の極小空間は、病院内にある畳敷きの粗末な警備員室になっている。
    ある日警備員(アフリカン寺越)が、患者のひとり蛭田(橋本亜紀)の自殺を
    未然に防いだことから、この部屋には蛭田を始め、瓜生(澤原剛生)、鵜飼(森由月)ら
    患者が出入りするようになった。
    警備員はあの日から子どもの頃の夢だった警察官になることを目指して勉強している。
    しかし医師の星川(末廣和也)、看護師(村田明子)は、ある葛藤を抱えて
    患者たちに日々に接していた。
    次第にここでの仕事に意義を見いだし始めた警備員の心に変化が訪れ、
    それが思わぬ事態を引き起こす…。

    自殺願望の強い患者が入院する精神病院が舞台である。
    患者のひとりを演じる橋本亜紀さんが秀逸。
    幻覚に苛まれる姿を人に見せたくないという心理、
    先に退院してシャバへ帰って行く仲間に対する微妙な心理が伝わってくる。
    “きっと死んでしまう”自分を抑えむ姿が痛々しく切なく、思わず泣けてしまった。

    終盤、“子どもの頃から弱い人をいじめてきた”医師と
    “子どもの頃助けられなかったから今度こそ警官になって弱い人を助けたい”警備員。
    実は“弱い人より優位に立っている自分を確認したい”という点で
    大して変わらないのだ、と指摘されて愕然とする。
    この境界線上に、社会の多くの人がひしめいているのが現実なのだ。
    境界線上にいる大衆のひとりとして暗澹たる思いにとらわれた。

    ちょっと唐突な印象を覚えたことがいくつかあって、
    コミュニケーションが取れなかった患者鵜飼が退院を前に急に饒舌になったこと。
    警備員の心の変化を見て自殺してしまう、蛭田の行動に飛躍が感じられたこと。
    彼女の死を医師が解説するというあのまとめ方はちょっと残念。
    蛭田の変化は解ったが、その理由を蛭田の言葉や態度で伝えて欲しかった。
    院長と話し合った末、驚きの方針を決定した医師と看護師の
    使命感と現実の葛藤があまり語られなかったこと。
    これらのプロセスがもう少し丁寧に語られたら、より説得力を持っただろうと思う。

    澤原剛生さん演じる患者の切羽詰った粗暴さ、
    大切なものの守り方を知らないままそれでも守ろうとする素朴さが良かった。
    医師役の末廣和也さん、
    いつもながら“嫌なヤツだけど実は単なる悪人じゃない”的なキャラが巧い。
    そして警備員役のアフリカン寺越さん、
    何かが正しいと信じて猪突猛進する男を演らせたら天下一品、
    その純粋さゆえに盲目的であり、物の見方が一方的なキャラが見事である。

    ラスト、自殺を止められた蛭田が初めて警備員室を訪れた日の
    再現シーンが素晴らしかった。
    警備員にとっては希望を得た日であり、
    蛭田さんにとっては新たな苦痛の始まりの日であった。
    人は誰も“照り返し”で救われることがある。
    誰かの努力する姿、誰かが変化する姿、その理由の一端を担った者として
    その姿を見ていると嬉しくて幸せな気持ちになることがある。
    だからそれを一方的に断ち切られると、途方に暮れてしまうのだ。
    人は様々なかたちで誰かに頼って生きているのだと、今さらながら感じた舞台だった。

    「犯罪者」「宗教」「精神病院」と来た作・演出の鮒田直也&アフリカン寺越のコンビ、
    次はどんな切羽詰った男を描くのか、楽しみでならない。




    3

    2014/08/10 00:22

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  • うさぎライター 様

    気にかけてくれてありがとうございます。
    これからもっと、いろんな顔をみせれるように日々足掻いていきます。
    うさぎライターさんの走りに負けないように疾走していきます!

    2014/08/11 13:14

    アフリカン寺越様

    存続決定おめでとうございます!
    アフリカン寺越さんのいろんな顔が観たいです。
    これからも疾走してください!
    うさぎも走って観に行くから(^o^)/

    2014/08/11 00:22

    うさぎライター 様
    「観てきた」コメントありがとうごさいます。
    嬉しい言葉で元気がでます。
    なんとか存続できるように今日も全力疾走で走り抜けたいとおもいます!
    ご来場ありがとうございました。

    2014/08/10 10:15

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