安部公房の冒険 公演情報 アロッタファジャイナ「安部公房の冒険」の観たい!クチコミとコメント

  • 期待度♪♪♪♪♪

    松枝氏
     は通常、演出も手掛けるし、実際、優れた演出センスは、前回、「かもめ」の2つのヴァージョンで確かめた方も多かろう。無論、それ以前にも彼独特の視点から紡ぎだされる舞台には、注目してきたのだが、コリッチメンバーの間で、その存在がつとに知られることになったのは、前回「かもめ」からではないかと思う。その彼が、今回は、演出を荒戸氏に譲っている。役者も佐野氏と状況劇場出身の二人の才能が、演出をしないという冒険に出た松枝氏と、どんなコラボレーションを展開してくれるか。楽しみだ。扱われているのが安部 公房というのも良い。面白いのは、ノーベル文学賞候補として、日本では、安部が大江より確実視されていたことである。三島は流石に、大江だと見抜いていたが。実際、大江タイプの才能の凄さは日本人には分かり難いかも知れない。だが、表記などに関しても、大江は最もラディカルな表記法を採った作家であるし、情況との関わりを常に意識して核作家でもあり、核戦略体制についてもずっとコミットし続けてきた作家であることを忘れてはなるまい。自分自身は、三島より、大江の方が、後代に残るのではないかと考えているのだが。安部作品の魅力は、この二人とは、無論、異なり、医学部出身ということもあって、即物的な観察眼と、社会的な目の配り様に独自の視点があったことは、無論、高く評価されるべきである。こんなに面白い作家、めったにいないのも確かであるから。

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    2014/07/29 17:40

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