I SCREAM (7/27~7/28無料公演) 公演情報 多摩美術大学映像演劇学科3年表現ⅡAコース「I SCREAM (7/27~7/28無料公演)」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    毀誉褒貶分かれよう
     3.11で2人の男達が、避難したのは、キャバクラだった、という設定の作品だ。

    ネタバレBOX

    このキャバクラのホステス達は、3つの派閥を形成している。在るグループは、津波で家族や親族と家屋を失った者達で形成され、在るグループは、飼っていたメダカの水槽が割れてPTSDになったり、或いは地震そのものを恐れる余り、余震でパニック症状を起こしたりしている。だが他のグループからは、自己憐憫と思われており、残るグループはその中間という位置付けである。ヤンキー系突っ張りで、何とか傷を誤魔化しているのが、この最後のグループである。無論、互いの派閥同士は仲等良いハズも無い。だが、この店のNO.1 は、どの派閥にも属さない。その名は、デンコ。彼女は、最も放射性核種による汚染の酷い地域が故郷なのだが、自分の体がフリークになっても尚、其処に留まり続けることを選んでいるユニークな存在だ。売上NO.1 というものは、大抵、嫉妬や妬みで表面上は兎も角、内心、仮想敵として嫌われるものだが、ことデンコに限っては、仲間の総てから好かれているばかりではなく、尊敬されている節が見える。何れにせよ、デンコの壊れゆく様を間近に見ている他のホステスや常連客は、いたたまれなくなって、デンコの為に反原発デモに走るが。確か翌月、1カ月の余震の数は1049回だったと思うが、余震の中には可也大きな揺れを齎すものがあり、当然、津波の起こる可能性もある。何れにせよ、ちょっとパニクル状況になると、本義も忘れて自己保身に走ってしまうのが、普通の人々でもあるのだ。その辺りのリアルな感覚を今作はキチンと取り込んでいる。
     その時、派閥の論理の外に立つというよりは、派閥の起きる原因の要をして機能するデンコを、その下降弁証法的なスタンスから捉えて演じ内面的な物をも描いていると感じさせた國分 大輝の演技が気に入った。特に、彼の目の表情、フリークとしての身ぶりの形態模写、そして瞼に塗った効果的なラメの化粧もグー。本編、1時間ほどの作品だが、単調になりがちな前説の時、客席に紛れ込んだ役者が、注意事項に反するようなことを、その度にやってみせ、場を盛り上げていたのも気に入った。映像演劇学科は、この度を以て廃止となってしまうそうだが、残念だ。学生さんたちには、大学の学科は廃止になっても、ここで学んだことを活かして更に上を目指して頂けたら、とは思う。

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    2014/07/29 04:32

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