オシラス 公演情報 電動夏子安置システム「オシラス」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★

    後出しオンパレード
    作品の舞台が市民感覚を計る目的の独法運営「オシラス」内での
    仮想現実陪審であるという設定がパンフレットや宣材のみに記され
    劇中では触れられません。
    そのままで陪審員入室場面から始まり、延々芝居が続いてゆく
    ところが電夏らしいといえばらしさなのですが…
    当然そういう設定を開演前にしっかり把握している酔狂(=自分)
    ばかりがお客さんではないわけで、そこの説明を劇中で織り込むのも
    ちょっとした気配りかなとは感じました。
    本作は審議内容より陪審をする人間の心理に軸足が置かれたコメディ
    でしたが観劇中は混沌とした心境で展開を追いかけてました。

    ネタバレBOX

    全員が事件当事者の視覚・聴覚をトレース出来るムシロに座りながら
    映像を見ることが出来た者とそうでない者が混在し、見た者の証言が
    次から次と後出しされることで陪審員により判断が二転、三転、それ以上。
    そのうえ見れなかった者も見たふりで審議に加わり続けるものだから
    見れたという陪審員も実のところ同様に思い込みだけで発言を続けて
    いるのではないか(事実、中田悟=添野豪サンがそうだった)という
    疑心暗鬼に包まれながら、落ち着かない観劇を続けるはめに…

    これはもう審議の行方というストーリーを追いかけるよりは右往左往する
    陪審員の役者陣を楽しむ芝居だと認識してからは、確かにボケやツッコミ
    に溢れた台詞がおおいに愉快ではありましたが、何だかこう…
    例えて言うなら、打った、抑えたの個人対決が見せ場の中心で勝敗二の次の
    プロ野球オールスターゲームを見ているような感覚に。

    滑稽な陪審員や愉快な台詞が楽しい反面、物語の柱たる審議の中身が証拠も
    何もない発言だけによる新事実の後出しオンパレードを最後まで積み重ねて
    締め括るに至っては、役者陣の魅力によって支えられたお芝居という後味を
    否めませんでした。

    とはいえ自分と重ね合わせて判断するという陪審員の心理描写など、込められた
    テーマは伝わる芝居で、映像が見えた者の証言とそうでない者の虚言がなぜか
    微妙に噛み合いながら物語の縦糸を紡いでゆく巧みさも垣間見れました。
    (※観劇の感想も「観たい」ものが観れたら満足。観れなかったら不満足という
    この陪審員の心理に似てるような)

    そして最後に無罪を同意した三好(根津茂尚サン)の「何もむきになって
    有罪にする必要もない。所詮お遊びですから」は本作フィクションの設定に
    対する否定のようで、とても面白く受け止めました。
    市民感覚を計る為にこんなお遊びを催す「オシラス」運営の独立行政法人って
    いったいどんな組織なのかという。
    現実でも存在する補助金泥棒な独法の存在に対してのアンチテーゼみたいでした。

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    2014/07/16 21:00

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