太子堂のサーカス【公演終わりました。ご来場、ご声援ありがとうございました!】 公演情報 タテヨコ企画「太子堂のサーカス【公演終わりました。ご来場、ご声援ありがとうございました!】」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    河童とサーカス
    副題にある「愛をこめて。地の下を流れる河より。」とあるのは
    今は暗渠となり、緑道と名を変えているが、かつてはその水面を見せて流れていた
    いくつもの川のことを指している。
    表に出なくなっても脈々と流れ続ける地下深い流れ、
    それをたゆたう人の心に重ねたような繊細な心理と台詞が印象的。
    この日、外の雨も芝居の一部になったかのような演出が新鮮だった。

    ネタバレBOX

    祖父と同居する予定で建てたのに、その祖父が亡くなってしまい
    柳沢(久行しのぶ)は広い家にひとりで住んでいる。
    烏山川探険隊は、暗渠となった川を探検するというマイナーかつゆるいサークルで
    丸谷(舘智子)と寺島(向井原徹)の3人がメンバー。
    今日は柳沢の同僚室田(郷本直也)が押しかけメンバーで加わり4人で活動した。
    寺島と婚約していて妊娠中の丸谷は、柳沢に「結婚式に出席してほしい」と頼むが
    彼女は頑なにそれを拒んでいる。
    訪ねて来た妹(大塚あかね)や丸谷達二人にも心を閉ざした柳沢だが
    室田の思いがけない言葉に、初めて柳沢の心が動く…。

    柳沢の「孤独と、一人でいたいという気持ちは共存できると思う」
    という意味の台詞にひどく共感を覚えた。
    「結婚式に呼ばれたら喜んで出るものだ」とか
    「いつまでひとりでいるつもりなの?」と心配されることとか
    彼女は周囲の思惑や価値観に対して表面上だけでも迎合することが出来ない。
    無理して合わせるくらいなら敢えて拒絶し、自ら孤立しようとする。

    まっすぐで、世の中をうまく泳げずにいるような柳沢に
    年下の室田が思いがけない包容力を見せるところがさわやかで嬉しくなる。
    いや、もしかしてこれはファンタジーなのか?と思わせる辺りがまた面白い。

    強気に出るが、実は心細くてならない柳沢役の久行しのぶさんが上手い。
    室田を演じた郷本直也さん、出だしの恐縮して小さくなっている時と
    後半の唐突ながら誠意にあふれた言葉とのギャップが良かった。
    背も高く、存在感大。

    ガラスの引き戸を開けて靴を脱いで上がる劇場をそのまま生かし
    一軒家の出入口にして、外の雨をもそのまま取り入れた演出が新鮮。
    開放的で素敵な空間だった。
    それにしても“大人のサークル活動”、楽しそうでいいなあと思った。

    0

    2014/07/10 03:48

    0

    0

このページのQRコードです。

拡大