うちの犬はサイコロを振るのをやめた 公演情報 ポップンマッシュルームチキン野郎「うちの犬はサイコロを振るのをやめた」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    衝撃のラスト
    ポップンのスタイルがさらにはっきりと確立されたような気がする。
    明確なテーマを掲げ、リアルで冷徹な描写をしながら
    もう一方では毒気たっぷり、許容ラインギリギリのところで笑い飛ばす。
    そして権力の影でひたむきに生きる人を愛情こめて描く。
    脱いだり見せたり笑わせたり、でもやっぱり泣かせるポップンの舞台。
    脚本もいいし演出もいいが、何よりこの発想の素晴らしさ。
    犬のメイクがマジ可愛くて、思わず連れて帰りたくなる。
    ゴルビーグッズ、あれば買ったのになあ、ぬいぐるみとか。
    この劇団を観ると、かぶりものの威力を改めて思い知る。
    まったく心温まるヒドイ話だった。
    5つ目の★は、吹原氏の素晴らしい発想に捧げる。

    ネタバレBOX

    例によって客入れの時間帯から舞台上では小芝居が始まっている。
    BGMはある種の共通点を持つ歌手の歌だけが流れている。
    岡本さんは以前のモモクロパフォーマンスがすごかったのでちょっと寂しく感じた。
    「YAH YAH YAH!」は素敵だった♪

    “何でもあり”の隣国で、もっと驚くべき人体実験をしていたのは日本軍。
    人間に施したその手術では被験者がみな自殺してしまったので
    次は犬なら大丈夫だろうとシベリアンハスキーのゴルバチョフが選ばれた。
    その結果、未来を視ることができるようになってしまった彼の人生は大きく変わる。
    そして出会ったシヅ子や仲間たちとの幸せな日々。
    しかし、その手術にはある秘密があった…。

    まず着想が素晴らしく、オチの衝撃がハンパない。
    犬がしゃべるとか、R18指定とか、見えたとか丸見えとか、
    そんなことがどうでもよくなるほど(よくはないか、この日を選んで行ったんだし)
    ラスト20分の展開がシリアスで衝撃的だ。
    “誰かのために自分を捨てる潔さ”を、今作品では犬が見せてくれる。
    加藤慎吾さん演じるゴルバチョフは、衣装もメイクも素晴らしく魅力的だ。
    彼のキャラが本当に泣かせるんだなぁ。

    シュールな設定にもかかわらず説得力をもって引っ張るのは
    振れ幅大きいがきちんと台詞を届ける役者陣である。
    躍進目覚ましい増田赤カブトさんは、歌も台詞も安定感が増して来てとても良かった。
    サイショモンドダスト★さんのキワモノぶりが素敵、その声と台詞回しにはほれぼれする。
    野口オリジナルさん、細い身体を惜しげもなく晒して表情豊かに踊るところが素敵。
    荻野崇さん、この人の登場で作品の持つダークな面の格が上がった感じ。
    そして横尾下下さん、あまりにリアルな演技が素晴らしく目が釘付けになった。
    ポップンはこういう芝居のできる人が集まっている集団なのだ、と改めて実感。

    ダンスや歌を多用するのはキャバレーが出て来るからなのかもしれないが
    あのくらいの割合で用いるならば、もう少し精度を上げて欲しい気がする。
    ダンスのキレ、習熟度にばらつきがあるのはちょっと残念。

    アニメーションによるメンバー紹介など、相変わらずセンスが良くて洗練されている。
    下ネタサービスやギャグにケラケラ笑っていると、がつんとやられて立ち上がれなくなる。
    吹原幸太さんは、すごい本を書く人だ。
    この人のバランス感覚について行けるように、私も足腰を鍛えたいと思う。




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    2014/07/07 03:13

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