うちの犬はサイコロを振るのをやめた 公演情報 ポップンマッシュルームチキン野郎「うちの犬はサイコロを振るのをやめた」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    ディテールに神が宿る。
    BY黒澤明。


    ※千秋楽後に内容を書き直しました。

    ネタバレBOX

    といいつつとりあえず一つだけ。
    冒頭のチャゲアスの小芝居は、作家の趣味なんでしょうか?
    くだらないと思いつつも大爆笑してしまいました。
    青いうさぎとか芸が細かすぎる!!


    千秋楽おつかれさまでした。
    レビューを見るだけで「大当たり」だったことがうかがわれます。
    本当に面白かったです。
    私が見た今までの舞台の中で間違いなくベスト3に入ります。

    一言でいえば
    「しゃべることができるようになってしまった犬が少女を好きになってしまったばっかりに人と出会い人に飲み込まれて利用されながらも愛を貫こうとするラブストーリー」
    と、解釈しています。

    初見の団体さんだったので、被り物とか、決して上手というほどではないダンスや歌の時は「どうなっちゃうんだろう」といささか不安もありましたが、実はこの日、連日のワールドカップ観戦で完徹で伺ったのに、最後まで1秒たりとも眠気は襲って来ず、1ミリも目が離せない舞台でした。

    大まかなストーリーはオーソドックスすぎるほどのベタなラブストーリーで、
    その上に中国だのしゃべる動物だの戦争だのと、全く違う要素をてんこ盛りにし、早い展開で観客をぐいぐい引っ張り、あれよあれとという間に、ラストで出て来る「手足のない日本兵」でした。
    そこで当然展開は見えたのですが(夢オチ)、では一体ゴルバチョフはどこに戻るのだろうと思ったら、なんと、

    とくにうまくもないなあと思って見ていたキャバレーの踊りと歌ですよ。

    もう全くそういうつもりじゃなかったのに、思わず泣いてしまいました。
    結構ガーっと涙があふれてしまいました。これは快感です。
    ちなみに人の舞台で泣いたのは初めてです(笑)
    「よりによってなぜこのシーンで泣いてしまうのか」と思いましたが、隣の女性もかなり泣いていたので(というか、結構泣いてる人が多かった)、作家としては当然計算だろうと思います。


    面白いと感じる作品は、最終的にディテールがあることだと思います。
    今回の舞台では、「鋼鉄の卵を産むにわとり」「手足を欲するトカゲ」「椅子と結婚するマッサージチェア」という三人のキャラクターに、神が宿っていたのだと思います。
    この三人はストーリーに大きく関係しているわけではなく、にぎやかしな感じ、しかも被り物ですから、ぱっと見ると「あははは」で終わるのですが、実は全編通じてそれぞれが訴えていることがあります。
    「自信」「願望」「癒し」です。
    あえて被り物で観客の目をそらしていたとしても、作家の意図は十分作品に反映され、そこが最終的に感動に繋がっているのだと感じました。

    クレオパトラの妙な存在感も、舞台上にいるだけで笑ってしまったし、それに負けないカエサルも、ラストに衝撃の姿で登場して全部持っていく感の謎の男も、細部にわたって役者の魅力が光っていました。

    もう一度見たいと思いましたが、中日すぎたくらいでほぼ売り切れていました。評判ってすごいんだなあと思いました。
    またぜひ見たいと思います。


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    2014/07/05 20:13

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