満足度★★★★★
「本読み」じゃなかったー!
確かに手に台本は持っているけど、やっぱりじっと座って読むわけがなくて……「開演致します」と前説が終わると、役者全員立ち上がっての重厚な男声合唱!空間一杯が歌声で満たされる大迫力。
安珍清姫の道成寺伝説や藤原純友の反逆の要素を取り入れた、鶴屋南北「金幣猿嶋郡(きんのざいさるしまだいり)」を元に作られたお話で、殆どミュージカルといってもいいくらい、たくさんの歌を堪能しました。
読み上げられるセリフやト書きは昔の言葉遣いなので、なかなかすんなり頭に入ってきませんが、くだけた表現の歌詞や役者の身振りやツッコミで、なんとなく状況が把握できたので置いていかれることもなく。
"水下きよし追悼公演"とのことでしたが、会場に入った瞬間からたくさんの水下さん(のイラスト調の写真)に迎えられてなんだか楽しくなってしまった他、劇中での登場も予想外の連続でひたすら笑ってしまいました。
水下さんが劇団での時間を過ごしてきた稽古場で、共に歩んできた座員たちが演じ、そして大勢の贔屓が見守り、舞台を共有することで思い出を分かち合えるだなんて、とってもあたたかくて、幸せでした。