過去との遭遇…【未来編】
「時空間移動」
要するにタイムトラベルのことを指す用語であるが、時代をスライドさせることなく、同時進行的に「過去・現在・未来」が交差する三本仕立ては斬新だった。「携帯電話」という非・視覚アイテムを活用した想像力である。
宇宙人と人間が巡り合う『E.T』等の映画。これらは、日常生活で誰しもが蓄積する、半径50m以内のストレスを減らしてしまう効果がある。
その点、磯辺と相馬が囲碁盤を前に宇宙人である告白について語るシーンは わずか1mの距離感だろう。
アメリカから「休暇」を名目とし やってきた捜査員ジョージ・高木、アリス・須賀。スティーブン・スピルバーグ監督が全米を泣かせ、数兆円単位の興行収入を叩き出して来た「ハリウッド系カルチャー・ウインド」である。
Mafty(役 ジョージ・高木) 、杉山夕(役 アリス・須賀)は観客を笑わせようと懸命に海外ドラマ・吹き替え声優の真似をすることはしない。そのテンションを保ちつつ「日系米国人」をストレートに演技したのだ。
この2人は「時空間の歪み」でもあった。セリフを聴くと心地良い。身体観すらも、アメリカンになろうとしていた貫徹主義者だった。