満足度★★★★
社会とがっぷり四つに組むドタバタ喜劇
笑の内閣の過去作品は『非実在少女のるてちゃん』と『65歳からの風営法』永田町公演を拝見しています。『ツレがウヨになりまして』は、ネット右翼になった若者とその恋人の女子大生を軸に、日本で起こっている反韓運動を時事ネタてんこ盛りでわかりやすく描くドタバタコメディーでした。
黒い幕で囲まれた舞台の中央奥に、少し斜めに張り出した台が置かれています。後で黒いソファなどが出てきましたが、装置と呼べるようなものはほぼそれだけだったでしょうか。今公演は再演である上に、多地域ツアーの最終地ということで、俳優の演技に安定感があり、これまでに私が観た作品に比べると全体的に素人っぽさが減って、空気の密度も高かったです。
とはいえ俳優さんはもっと稽古して欲しいし、人物の配置や場面転換には大いに改善の余地があるし、美術や衣装の詰めも甘いです。ソファの黒ガムテ貼ってる感はどう受け取ればいいのか…最初は戸惑いました。でも、そういう品質は決して重要ではないんですよね。笑の内閣のお芝居は、市井の人々の、市井の人々による、市井の人々のための社会派喜劇として最高峰かもしれません。だってすっごく面白かったんだもの!
お芝居が始まる前の開場時間はずっと、劇団主宰の高間響さんが舞台に立って前説をされていて、それも面白かったです。CoRich舞台芸術まつり!のことも紹介してくださいました。
終演後は大賑わいの物販スペースで公演パンフレットを買いました。脚本は売り切れてしまったので、代金を支払って後日配送にしてもらいました。過去公演のDVDを数本、お土産に買って帰る方もいらっしゃいました。もっと深く知りたい、そして家族や友人にも知らせたいという気持ちになる作品だったのだと思います。