満足度★★★★
第二期始動
若い世代が中心とした座組による勢いを感じさせる公演で、コクーン歌舞伎の第二期の始まりを強く印象付けていました。
同じ吉三という名を持つ悪党3人が出会い、次第に百両と名刀「庚申丸」を巡る因果が明らかになる物語で、都合の良い偶然だらけの荒唐無稽さはあるものの、3人に訪れる悲しい運命に引き込まれました。
大詰では何もない真っ白な空間に雪が降る中で、スピード感のあるダイナミックな大立ち回りが繰り広げられ、とてもエキサイティングでした。
回り舞台を場面転換の為に使うのではなく、印象的な場面で役者を色々な角度で見せる為に使われているのが伝統的な歌舞伎の演出とは異なっていて興味深かったです。
三味線を用いず、電子音を主体にした録音に附け打ちとパーカッションのが絡む音楽が、現代に合ったテンポ感を生み出していて良かったです。
大詰めの立ち回りの時は音量やオン/オフを弄り過ぎていて、せせこましく感じられたのが残念でした。
書き割りではないリアルな2階建ての町屋のセットが3方を囲う中に水を張った回り舞台が設らえてあり、水面の光の反射が壁に映るのが美しかったです。