満足度★★★
初演とは趣が異なる時代性
ちょうど、先月にアメリカのサンタバーバラで起こった、エリオット・ロジャーの事件を思い出してしまいました。
人は、合わせ鏡のようなもので、誰の視点で、誰を見るかによって、一つの事象がどうにでも解釈できるのだという手法の芝居は数々観ましたが、先日の「昔の日々」のように、全く皆目見当がつかない芝居と違って、前川さんの作品は、誰が観ても、描かれている世界が、等身大で、わかりやすいので、助かります。
安井順平さんは、今や、彼が出演していなかった頃のイキウメを思い出せないくらい、この劇団になくてはならない存在だと思います。
浜田さんの演技力にも、更に磨きが掛かっていました。
新田直樹役の新倉ケンタさんは、上手な役者さんだとは思うのですが、他のキャスト陣と演技の質が異なる点が、やや惜しいと感じました。
私個人の思いとしては、初演の「関数ドミノ」の方が好みでした。今回の作品は、前川作品に馴染みのない人でも、後半の展開が予測できてしまうのではないかなと思いましたが、どうなんでしょう?
芝居によって、うまいのかそうでもないのか、いつも判断jに迷う、森下さんが今回の土呂役の演技では、群を抜いて素晴らしく感じました。本当に、不可思議な役者さんだなといつも感心してしまいます。