関数ドミノ 公演情報 イキウメ「関数ドミノ」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★

    初演とは趣が異なる時代性
    ちょうど、先月にアメリカのサンタバーバラで起こった、エリオット・ロジャーの事件を思い出してしまいました。

    人は、合わせ鏡のようなもので、誰の視点で、誰を見るかによって、一つの事象がどうにでも解釈できるのだという手法の芝居は数々観ましたが、先日の「昔の日々」のように、全く皆目見当がつかない芝居と違って、前川さんの作品は、誰が観ても、描かれている世界が、等身大で、わかりやすいので、助かります。

    安井順平さんは、今や、彼が出演していなかった頃のイキウメを思い出せないくらい、この劇団になくてはならない存在だと思います。
    浜田さんの演技力にも、更に磨きが掛かっていました。

    新田直樹役の新倉ケンタさんは、上手な役者さんだとは思うのですが、他のキャスト陣と演技の質が異なる点が、やや惜しいと感じました。

    私個人の思いとしては、初演の「関数ドミノ」の方が好みでした。今回の作品は、前川作品に馴染みのない人でも、後半の展開が予測できてしまうのではないかなと思いましたが、どうなんでしょう?

    芝居によって、うまいのかそうでもないのか、いつも判断jに迷う、森下さんが今回の土呂役の演技では、群を抜いて素晴らしく感じました。本当に、不可思議な役者さんだなといつも感心してしまいます。

    ネタバレBOX

    いつも、思い通りに事が運ばず、周囲に存在するドミノのせいで、浮かばれない人生だと思い込んでいる真壁が、「バカのくせにドミノだったりするから…」と不遇を嘆く台詞に、ちょっとだけ共感し、自分もかなり病んでいるなと自覚したりしました。

    ヒットラーは、ドミノだったという説には納得してしまいます。

    浜田さん演じる塾の人気講師左門のデフォルメした演技は、秀逸の極みでした。ただ、弟の彼女にパスタを食べさせるシーンは、官能的な印象を狙ったのでしょうが、先日の「昔の日々」や自転車キンクリートの、台詞のみで、レイプシーンを再現した芝居を観た時程の衝撃には及びませんでした。
    きっと、浜田さんも、吉田さんも、まだお若い役者さんだから無理はないとは思いますが…。

    前川さんの作品は、予測不能の展開にスリリング感を感じるので、今回の舞台は、私には、やや平板に感じられました。形よくまとまり過ぎた印象で、特に、真壁こそがドミノだとわかる終盤以降の展開を凡庸にしたきらいが見えて、ちょっとだけ、残念な劇後感でした。

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    2014/06/15 18:03

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