満足度★★★★★
この美術あってこその
このお話。舞台美術の美しさに圧倒されました。劇小劇場が林の中の一軒家のアトリエに見事に変わっていた。美術だけでなく、音楽、効果音などすごくセンスあるなぁ、とまずその美しい空間形成に感動。ライティングも素晴しかったです。時間軸に関係なく語られるストーリーも、人間の記憶の在り方を示唆しているようで興味深い。仏画などでは、重要な仏や人物が遠近法に関係なく大きく描かれるが、人の記憶もそれに似たものかもしれない、と実感した。会ったことのない舅など出てくるのも面白かったなぁ。捉えどころのない記憶というものの不思議さ、儚さ、面白さをこれほど描き切った作品を他に知りません。私は大好きな作品。目立たないけれど、夫婦の衣装なども細かく計算されており、泣かせる。