満足度★★★
女性たちの生きづらさパターン
失踪したかつての友人、アイがイメージした「箱庭」の風景に、今も囚われている10年後の女たちの群像劇。物語は、突然アイが帰還し、学生時代の仲間全員での旅行を企画するところから始まる。
彼女たちの生きづらさのパターンは確かに「結婚すべきか」「子どもを生むべきか」という伝統的な(?)ものから「夢を追い続けている痛々しさ」「どこで誰と暮らして生きるか」などという、レンジの広いものではあった。しかしその生きづらさがあらわになる舞台として、飛行機こと故で無人島に辿り着くという設定は古ぼけているし、女性同士の生き方や確執のパターンは浅いままだ。ボス猿的な女(玉の輿)と取り巻きの女(普通の主婦)、それをいらいらしながら見ているちょっと輪から外れた女(独身)。これでは「やっぱり女の人たちって影で悪口言い合ってるんでしょ」という、他人からのレッテルを吹き飛ばせない。そういう意味で、あんまり男性を連れて観に来たくはないかな……と思ってしまった。「痒み」というタイトルの通り、もどかしさの表れにより、主人公は時折身体をかきむしる仕草をする。その女優の身体はとても美しかったが、いやらしい美しさではない。つまり、露出された足だけに目がいってしまうとか、そういう「妨げ」のある身体に仕上がっていないのが、演出としてはよかった。
衣装など、スタッフワークは素晴らしかった。無人島生活でだんだんぼろぼろになっていく様子が、キャラクターに合わせた何着もの衣装で伝わってきた。色使いも本当にかわいくて、着てみたいと思った。
俳優たちは、叫んでも取り乱しても可愛い。声の大きな演技スタイルでやり続けるのは少しつらく思えたところもあったけれど、基本的には巧さに見惚れていた。あとは、声や身振りによる圧力のコントロールがもう少し締まればと思う。マリモ役の尾身美詞、チカ役の宮山知衣が印象に残った。
パンフレットもゴージャスな作り(カラー印刷、複数ページ。広告あり)で、俳優個人のことを知るのにはとてもよかった。随所から劇団のホスピタリティを感じ、観劇に来た人々とのコミュニケーションをきちんと取ろうとする姿勢にとても好感を持った。
2014/06/13 21:46
コメントありがとうございます!
そして、ご来場ありがとうございました!
糧にさせて頂きます!!
今後ともよろしくお願いいたします!