『ヘッダ・ガーブレル』 公演情報 アマヤドリ「『ヘッダ・ガーブレル』」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    ヘッダに夢中
    どこからどこまでがネタバレなのかわからないので全部まとめてネタバレに書きますが、

    ネタバレBOX


    正直なところ、独特台詞廻しと独特な動きのせいで、最初におばさんと女中の会話が始まった時は(うわー、このかんじで2時間はツラいな…)と思ったのだけれど、そのテンポにのってくると(慣れてくると)それが面白く、ぐいぐいと引き込まれた。

    途中、役者の集中力が保たず、リズムが崩れて危うい場面も幾度かあったけれど、ブラック判事とテスマンが奥でパンチを飲んでいて、ソファにヘッダと2人が座っていて、というシーンで僅かに身を乗り出して芝居に見入っている自分に気づいて静かに座り直した。笑

    それぞれ皆、人が羨むようなものをなにかしら持っていながら何故か何処か満たされない、他人が羨ましい、妬ましい。

    女性であることで生じるヘッダのコンプレックスの描かれ方がとても良かった。

    夫の仕事を支え社会的に必要とされる人間になれない。結婚生活は退屈でたまらない。判事と不倫関係になることで“女”としての或るひとつの生き方を模索するがうまくいかない。別れた男の成功の裏にいたのは女としての魅力でいえば自分に劣っているように思われる学生時代の友人。美しく奔放、何処までも自由でとても不自由、横暴で臆病なヘッダというヒロインに皆が好感を抱くかはわからないが、魅せられ夢中になったのではないだろうか。

    エルヴステート夫人の存在の仕方も非常にうまい。ヘッダのように華やかでない、家庭も上手く行っていない、でも、聡明で、ヘッダの幸せを悪気なく攫い、それに気づかず、自分は不幸だ、満たされないともがいている。


    演技が素晴らしかったのは間違いないけれど、イプセンのヘッダ・ガーブレルという戯曲の面白さに完全にやられた。古典なのに褪せていない。素晴らしい。

    あと、ブラック判事役の沼田星麻さんという方の声が心地よく、しゃんとした姿とそこはかとない胡散臭さが美しかった。

    またみたい。

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    2014/06/03 15:30

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