キャベティーナ 公演情報 劇団鋼鉄村松「キャベティーナ」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    キャベツ合戦
     スペインのトマティーナは、8月の最終水曜日に行われる収穫祭だが、熟したトマトをぶつけ合う奇祭として知られ、世界各地から、この日に合わせて観光客が集まり、この時ばかりは、住民の倍以上の人々が押し寄せることでも知られる。今作と同じように前夜祭があり、移動遊園地がやってきたり、屋台が立ち並んだりと縁日のような雰囲気の中で、人々は、酒を飲み、ダンスを踊るのが習わしだ。

    ネタバレBOX

     設定を所沢とし、このトマティーナに想を得て作られたのが今作だ。キャベティーナの発端は、豊作の為、値崩れを起こしたキャベツを、トラクターで轢き潰す悔しさに耐えかねた農民が、キャベツを投げ合って憂さを晴らしたことに端を発するという。
    スペインでは、トマトを少し潰してから投げるのがルールだが、キャベティーナでは、投げるのはキャベツなので潰しようも無い。だから、トラクター上に乗って最後迄、キャベツ合戦をし、踏ん張った男は、英雄であり、キャベツの妖精に選ばれた女性に接吻を受ける栄誉を担う。この儀式の後は、キャベツ出荷用の段ボールに細工をした仮面を被ってダンスパーティーが催されるが、酒も入り、開放的になった者達の間には、アバンチュールも多く生じる。この為、ダンパは、一種の若衆宿の趣を呈する。
    以上のような状況に、おぼっちゃんのまさくにを中心に、所沢のヒロインで、横道にそれたこともあるキャロライン、キャロラインのファンで元族リーダーのコーセー、まさくにの雇主、実力者のガンバ、キャベツグループを潰そうと画策するまさくにの父、カボチャマスク、矢張り、キャロラインを愛する資源再生工場工場長、キャロラインの父、藤田、キャロラインのライバル達らが、こぞって惹き起こす小さな笑いが今作の特徴だ。従って、大筋で深い感動の渦に巻き込むとか、太い脈絡で喜劇性を仕込むという手法は取られていない。作家のシャイな性格から、真を描くに当たって嘘を構築するという手法は、却ってあざとく感じるということがあるようだ。とはいえ、キャベティーナの祭り自体は、舞台上で実在のものとして描かれるが、実際に所沢へ観に行くことはできない。完全な創作だからである。
    ★は、20周年に因んでこの値段で公演したこと、一所懸命な役者陣、制作側の心意気を加味して4つ。だが、矢張り更に★の数を増すには、骨太のシナリオを書いて欲しい。例えば、キャベティーナのルールを幾つかキチンと定めてエッジを立てる等の工夫が欲しい。

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    2014/05/31 13:46

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  • 公演お疲れ様でした。
              ハンダラ

    2014/06/02 19:14

    ボス村松さま
     まあ、完全なオリジナルは発狂しなければ作れないでしょう。狂気にその可能性が唯一存在するのは、狂気とは純粋な錯誤だ(M.フーコー)からです。但し、他の人々に伝達できるか否かは、無論別問題です。まあ、アントナン・アルトーが再評価されたりするのは、精神病院で過ごした経験なども関係があるかも知れませんね。アルトーはきちんと読んでいないので、余りハッキリしたことは自分に分かっていなのですが。
     逆に言うと、総てのことは既に書かれていると言われる陳腐な表現にも一理あるということでしょう。自分は、様々な作品を読んできて、やはり表現されるものには、ある種のパターンとか、必要な要素、、等々があると感じています。そのような発想に立って書かれた本があるので、一応、書名などあげておきます。村松さんの表現論には反するかも知れませんが、書店なり、図書館なりで一度、手にとってみてください。「ストーリーメーカー」大塚 英志 アスキー新書、同じ著者が、キャラクターなどの観点から書いた新書も出ています。
                                ハンダラ

    2014/06/02 19:10

    むー。骨太な筋なー。

    むー。

    脚本書きながら、話が膨らんでいく今の書き方だと

    なかなかそこには到達できないのだろう。

    で、ボクが白紙の紙の上を睨んで、そこに映せる筋は、

    凡庸で全部、どっかで聞いたり見たりしたことあるものばかり。

    凡庸で、どっかで聞いたり見たりしたことあるものを、

    覚悟を決めて、作ればいいのかなとも思う。

    なんか、お金もらって脚本を依頼されれば、書けそうな気もする。

    だれか一回、俺に仕事くれ。

    2014/06/01 07:01

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