風間杜夫ひとり芝居『正義の味方』 公演情報 トム・プロジェクト「風間杜夫ひとり芝居『正義の味方』 」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    風間ファンの空気感が心地よい
    私が風間さんの舞台を初めて拝見したのは、紀伊国屋ホールで、つかこうへい事務所の「熱海殺人事件」を観た時。

    あれから、何十年経ったのでしょう?

    風間さんも、ファンも歳を重ねました。

    絶賛された、一人芝居3部作よりも、緩い作りの新作一人芝居は、今の私の心境には、あまり熱すぎず、適度な笑いに満ちて、とても心地よい精神緩和剤に感じられました。

    ネタバレBOX

    「銭湯」と「戦闘」を掛けたのかな?

    100歳近い、風間さん扮する銭湯のおやじさんは、見た目、内田裕也さん風でしたが、私は、マルハニチロの農薬混入犯人の風貌もちょっと思い出してしまいました。

    戦争体験のある卯三郎は、戦地に行っていた間に、別の人に嫁いでしまった婚約者の実家の銭湯を引き継ぎ、戦後の日本の生き字引のような生き方をしてきたお爺さん。

    銭湯に来る客に、落語を交えて戦争体験談を語ったり、時勢を揶揄したカルタ遊びを発案したり、95の今でも、恋をしたり、毎日元気に周囲を楽しませて明るく生きています。

    でも、戦争は二度とごめんだと思っている卯三郎でも、ごみ屋敷の住人を一度はとっちめようと正義心に逸ったりします。これは、集団的自衛権行使を叫ぶのと同じ心理なんでしょう。東京大学の才媛女子大生に諭されて、正義を振りかざす暴力を思いとどまってくれて、ほっとしました。

    カルタ会の場面で、客席のご高齢の女性が、心地よさそうに、大きな寝息を立てていらして、まるで、客席までが、高齢客で賑わう銭湯の延長線上のような雰囲気で、何だか微笑ましく感じられました。

    卯三郎が、小保方さんに好意的なのは、作者の水谷さんが、男性だからでしょうね。(笑い)

    卯三郎の生きて来た戦後の道のりが、映像で流れますが、何も説明がなくても、どの映像も全てあの日のことと認識できる自分に、改めて、自分も高齢者になったのだなあと認識させられました。

    全体的に、ある種の問題提議をしながら、それ程肩の凝らない作りの芝居で、心地よかったのですが、ただ一点気になったのは、戦時中の場面で、「コンテスト」とか「マイク」とかの敵性語を卯三郎が口にした点。当時は、英語を使用すると大変なことになったと聞いているので、やや違和感がありました。

    さりげなく、風間さんの演じる卯三郎に、客席が共感できる素敵な舞台作品だったと思います。50代以上の方にはおススメ作です。

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    2014/05/31 02:06

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