満足度★★★
8人の役者の語り芸を満喫
作者のギャリー・オーウェンとは何者なのか?
本作はいつ頃、どんな経緯で書かれ、どんな様態で上演され、本国の観客にどう受け止められたのか?
…といった背景を知りたくて出がけに急いでネット調べをするも有益な情報は得られず、ほとんど予備知識のないままに観劇。
それでも結構楽しめました。
案内文には、「都会に生きる人々の“25”の確かな声によって綴られた、とある街のスナップショット集」との記述。
8人の役者が独白スタイルで届けるこの“声”が実際に街で拾われたものなのか、作者の創作によるものなのか、よく分かりませんでしたが、大なり小なり何らかの憂いを抱える街の人たちに役者たちが扮し、それぞれの身の上を抑揚豊かな口ぶりと動きで伝える一人芝居には役者の持ち味が色濃く染み出し、こんな言い方はナンですが、「役者図鑑」的な面白さがありました。
また、境涯の断片を切り取った“語り”の数々は、全てが言い尽くされていない分、想像力をかきたて、各人のバックボーンに思いを馳せる楽しさが。
それぞれの語りが相互につながっているような、そうでもないような、その微妙な感じも良かった。
なお、太田宏さんによる前説によれば、
作者はイギリスの人なんだそう。
上演時間は約140分。長丁場ではありましたが、刺激的なひとときでした。