昭和レストレイション 公演情報 パラドックス定数「昭和レストレイション」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★

    意外でした
    2・26事件が題材ということで、きっとかなり終始息を呑むようなストーリー展開なのだろうと予想していましたが、意外も意外!

    途中までは、コントめいた雰囲気で話が進むので、会場には笑いが絶えませんでした。

    井上さんの「ムサシ」に似た劇構成のようにさえ感じられました。

    野木さん流の、機知に富む2・26事件の切り口の斬新さには感嘆しましたが、でも、この事件の本質をあまり良く知らない観客が観ると、作者の作劇意図が全く見えて来ないのではと、危惧する部分も多々ありました。

    パラドックスの役者さんの中で、近藤さんは浮いてしまうのではないかと心配でしたが、それは全く杞憂に過ぎず、見事に溶け込んでいらっしゃいました。

    若い将校達の居住まいが、それらしく、この劇団の役者力はいつもながら、卓越しているなと思いました。

    シュールで、アイロニーに満ちた野木版、2・26事件芝居です。

    ネタバレBOX

    上からの命令で、意味を深く理解しないままに、敵と思った対象に、猪突猛進する若き将校達。若さ故の無知と、猛進の末の悲劇的顛末。

    この芝居を観ながら、全然状況は違うのに、何故か、セオール号の事故の犠牲者の修学旅行生を想起してしまいました。大人を信じていた若者というところに、共通点を感じてしまったのかもしれません。

    一見和やかそうに見える、雪合戦のようなラストシーンは、逆に、痛切に、深い哀切さが胸に迫りました。

    襲撃に向かう将校達に、道行く庶民がおにぎりを恵んでくれたという意味合いを、何度も反芻する若い上等兵の言葉に、今の日本の国民の意識を連想したり…。

    さらっと観ていた場面の所々に、まだまだ気づかない作者の示唆が含まれていたように感じられ、もう一度、吟味しながら、再見したい気もしました。

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    2014/05/19 02:08

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