フサエ、100歳まであと3年 公演情報 小松台東「フサエ、100歳まであと3年」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    宮崎弁の台詞
    台詞がいいなあ。
    宮崎弁の柔らかなトーンが、人の営みの棘やストレスを包み込むように優しい。
    達者な役者陣がまた絶妙の間で返し合う。
    若干初日の硬さが見られた気もするが、
    そんなものを吹き飛ばすことばの魅力に惹き込まれた。

    ネタバレBOX

    舞台はフサエおばあちゃん(松本哲也)が暮らすケアハウスの部屋。
    (確かケアハウスだったと思う)
    日頃は娘の真知子(山像かおり)が訪れるくらいだが、今日はちょっと様子が違う。
    真知子に呼ばれて帰って来ている孫の康太(野本光一郎)は33歳でバイト暮らし。
    姉久美子(笹峯愛)は、そんな弟が歯がゆくて、会えば喧嘩ばかりしている。
    久美子は夫(佐藤達)の仕事について来月ドバイへ移住することになっており、
    その前に家族が集まる形になった。
    ケアスタッフの須藤(尾倉ケント)、見合いが嫌で飛び出してきたいとこの光(冨永瑞木)、
    週に一度やってくる牧師の聡美(伊達香苗)らが加わってますます賑やかに…。

    登場したフサエおばあちゃんが、ガタイが良くて97歳に見えない(笑)。
    そんなにリアルでなくても良いが、もう少し年寄りっぽさが出ても良いと思う。
    作り過ぎない年寄りの方が台詞の面白さが生きるけれど、
    杖こそついているが姿勢や話しぶりは70歳くらいの印象を受けた。
    年寄りがベッドに座った時、足が床に着かなくてぶらぶらするのも
    ちょっと不自然かな。

    その違和感が徐々に薄れるのは、その後の台詞のやりとりが面白いからである。
    康太が姉の夫と話すシーンや、牧師の聡美とつきあい始めて1週間の須藤の会話、
    そして何と言ってもフサエと真知子は、相手の台詞を受けとめる呼吸が絶妙で
    “受ける芝居”の大切さを教えてくれる。
    この二人が他の会話の“暴走”をうまく収めている。

    姉がひとりになる母を心配するあまり、頼りない弟に強く当たる気持ちが
    もう少しことばになっても良かったのではないかと思う。
    終始不機嫌な顔で、性格が悪く見えてしまいそうなのは残念だから。
    ちょっと変なダンナが、何だかいい人じゃないの、ってなるところは巧い。

    フサエと真知子のキャラが魅力的で、宮崎弁の台詞が生き生きと立ち上がる。
    この台詞、温かくて懐かしくて、ぜひまた聴きたいと思う。

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    2014/05/09 01:35

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