期待度♪♪♪♪
マグマ
大陸移動説は19世紀に発表された。当時、発表した学者が受けた評価は”気狂い”である。天動説を信じていた人々が、地動説を理解できなかったように大陸とか地面が動くわけはないと盲信していた人々は、大衆のみならず、多くの研究者も間違いを犯した。
然るに、我々の住んでいる大地など、エベレストの頂上から地殻の底まで足しても精々30~40kmに過ぎない。それにひきかえ、地球の直径は約12.750km。つまり大陸などマグマの上に浮いている皮膚程度のものだ。マグマは流動的である。従ってマグマ上に載っている大陸は動くのが当然。こんなに簡単な理屈を日本の地震学者の多くが認めていないのは、何と馬鹿げたことだろう。当然、この馬鹿げた認識は、原発の安全審査に影響している。
ところで、今作は、このマグマの動きをヒトがどうにかできるか否かを問題にするようである。現在、新たな大陸集結が起こるのは約3億年後と考えられているようだが、そんなに後まで、ヒトという生き物が存在しているとも思わない。現在の速度で核が、世界中に蔓延するようなら、間違いなく核の齎す被害によって地球上の生き物総てが大打撃を被るだろう。DNAを損傷した生き物がその後、どのように進化するかは未知数だが、通常、核放射性核種が、生命体にとって安全になるには、半減期の10倍の時間を必要とする。今回、福島第一原発で起こった人災で放出された放射性核種は約200種類。自分の聞いた範囲内でも半減期が2万4千年に及ぶプルトニウム239で計算したとして24万年。そんなに長い間、誰が責任を持ってキチンと管理できるものか! 考えてみるがよい。たった千年続く国家さえ珍しい。続いたとしてもその領土には大きな変化があるのが普通だ。そんな様々な否定的要素を如何に潜り抜けながら、人は他人を信じ行動できるか?、技術的な側面は兎も角、演劇的にはそれが問われるであろう。