海猫街・改訂版 公演情報 劇団桟敷童子「海猫街・改訂版」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    魂の熱演
    個性豊かな劇団が熱演をみせる!!

    ネタバレBOX

    劇団にとって、『海猫街』は8年ぶりの再演らしい。前回は第61回文化庁芸術祭優秀作品となっており、今回も平成26年度文化庁文化芸術振興費補助金の助成を受けている、小劇場系としては本格の公演。
    会場に入ると、舞台上は多くの丸太を組んだ立体的な構造に仕立てられていて、シーンごとに実に上手く活用されていたのには関心。それはともかく、上演前から大道具で圧倒・感心させられた。
    話は北海道の海猫が多く集まる辺鄙な集落。ここに、政府お墨付きの大企業が港を作るかとうかの視察に来るというので、部落民たちは全員で企業幹部の接待をしようと張り切る。しかし、やってきた企業幹部の本心は、港を作るのではなく、集落近くに埋蔵されている石炭が目当て。しかし時は遅く、企業が部落民の反対で石炭採掘を諦めた引き上げた後の部落は、嵐などで傷めつけられ徐々に民は一人また一人と部落を離れ、最後には海に出た龍次を待つ瑞枝とイサナ二人だけに。そして二人もついに息を引き取り、海猫だけが舞っている土地となっていく。
    企業幹部の接待に端を発して、海賊末裔と奴隷末裔の対立が浮き彫りになったり、軍二・龍次・瑞枝の三角関係が持ち上がったり、白髪白肌のイサナの存在が部落の存亡を左右するようになったりと、次々と展開する出来事に、観客は巻き込まれ、涙する。号泣するような強烈な山場があるのではなく、全体を通してなぜか目が潤む場面が続き、舞台に釘付けになってしまうエネルギーの凄まじさには感服するばかり。

    存在感のあったのはイサナの椎名りお、堂園千草の板垣桃子、それに婆の鈴木めぐみ。一歩下がって軍次の桑原、龍次の深津、片腕源蔵の原口あたり。蟹奴のもりちえが奏でる三味線の音は、一服の清涼剤として時々の舞台のシーンに色を添えていた。

    こうしたストーリー、難しいのは結末をどうするかであるが、瑞枝とイサナに焦点をあて、時間の経過を静かに感じさせてフェイドアウト的に締めくくっていたのは上手い処理だろう。

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    2014/05/03 21:23

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