片腕・少年・水晶幻想 公演情報 台湾・日本国際協同企画川端康成トリロジー「片腕・少年・水晶幻想」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★

    「水晶幻想」が傑出!
    そのエッセンスを損なわぬまま原作を舞踊作品に昇華させた「水晶幻想」が出色!

    ネタバレBOX

    「水晶幻想」の原作小説は、上流夫人が夫とデカダンスな会話を交わしながら色んなものを幻視する話。ノーブルな顔立ちの美女・山縣美礼さんが幻想的な照明に彩られ、きらびやかな衣装を身に纏ってなまめかしく舞う姿はまさに“貴婦人”で、うっとりと見入ってしまった。
    本作は純粋に一舞踊作品としても楽しめそうだが、劇空間の背後に原作を透視しながら観たほうが味わいが増し、より楽しめるかと思う。

    中年の独身男が若い娘に一晩だけ左腕を貸してもらう奇譚「片腕」は原作の持つ薄気味悪さ、それと背中合わせのなまめかしさが損なわれ、ノゾエ流喜劇に姿を変えていた。
    原作にも滑稽味はあり喜劇化は許されるとして、「それなら…奈良?」「鹿せんべい!」など原作にない、無理くりねじ込んだような駄ギャグには閉口。また、仮に喜劇にするにせよ、本作のようなドタバタ喜劇にするのはいかがなものか?
    それから、男に腕を貸す女の役でキュートな中国美女が出てくるが、どんな女かは客の想像に委ね、あくまで手だけを出演させたほうが良かったのでは?
    ただ、借りた腕を男が愛でるシーンで、女のふくらはぎ、全身などを腕に見立てて愛撫するアイデアは悪くない。

    川端の学生期の同性愛体験を描いた「少年」は、「片腕」以上に残念な作品。
    原作は年を重ねた川端が学生期を回顧する形式で書かれており、そのせいなのか、熟年男優が原作の同性愛描写を読み上げていくスタイルで劇は進むが、それに合わせて美青年2人が舞台上で睦み合うくらいの演出がなされても良かったのではないだろうか?
    カッコいい人だったとはいえ、熟年の男優が朗読のかたわら身をくねらせて踊るだけではエロスは感じられない。

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    2014/04/20 04:23

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