終わりよければ、舞台よし。
「結核病棟ってマスクを装着しなければ いけない施設?
パンフレットを読みましたよ。するとね、注意事項と一緒に『マスク着用!』とか記載ありました。役者もマスク姿で大変そうでしたね。
でも、客は劇場へ来る前からマスクを着用してます。
言っときますけどね、他人様にうつしたら申し訳ない謙虚さじゃないですよ。
客は風邪予防なのか、花粉症なのかね。『浪漫狂』の一流のエスプリに接すれば、原発作業員のように防御する自分をどう感じるか…。新宿は結核患者の溜まり場かってね…。パンフレットにエッセンスがありました」
一発ギャグするコメディアンより先に、現代社会がそのオーダーを済ませてしまう逆説。これを滑稽な先見性ともいいますがね…」
「キャスト陣の多さには驚いた―
お笑いやってる『ジョイマン』とかいうコンビの出演回なら、総勢ざっと28人。
ひたすら劇団長・中村隆天と統括プロデュースの壱位仁井が絶大な権力握ってるんでしょうけど。(これは憶測ですよ)
しかし、何ですか、『バクステ外神田一丁目』とかいう女性アイドルを出演させたあたり、『紀伊國屋ホール』を意識した、つまり芝居だけじゃ心配ですよという保険型エンターテイメントだよね。
アタシはね、彼女たちには生声でパフォーマンスしてもらいたかったと本気で思っています。録音テープ再生してもね…。
彼女たちはプロフェッショナルなんでしょう?
まあ、日本のアイドルの普遍的テーマ性は『素人』だったり『普通の女の子』だったりするのかもしれませんがね。それをマネージャーに反論されたらお手上げですよ。
別に録音テープを認めたわけじゃない。だって、これはミュージカル俳優の否定なんです。
ちなみにパフォーマンスですがね、『浪漫狂』劇団員が混在していましたね。誰が『バクステ外神田一丁目』なのかね…。『素人』はパフォーマンスを邪魔しちゃダメ。『バクステ外神田一丁目』のステージにしないと」
「結核病棟の集会室…。ハートフル・コメディが貫かれ、オジサンたちを自己陶酔させる舞台としては良かったんじゃないですか?
ただし、宮内見と工藤謙太郎の兄弟関係とか、ちょっと20年前だよね。スマートフォンは登場しませんでしたけど…。携帯が登場したから、まあ、一応は現代なんです」