マニラ瑞穂記 公演情報 新国立劇場「マニラ瑞穂記」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    アフタートークの日
    恥ずかしながら、タイトル漢字名を一発では読めず、もちろん意味等もわからず。
    読み方と意味が分かると戯曲の説明文もしっかりと理解出来た→遅いw

    一つの国の中にある祖国。明治時代のフィリッピン(多分この時代はこんな発音?)領事館を舞台に男も女も雑多に生きる姿が魅力的。
    タフで哀れな女達、いかにも九州男児然した秋岡、興奮時江戸っ子口調になるも育ちの良さが垣間見える高崎。言葉は発しなくても存在感を示すシズの末路や、祖国を思う男達の想い。
    貧困、教育、植民地、運命等々、戦後間もない時期に書かれた戯曲なのに妙な空気感を醸し出している現代にも通じている、日本の演劇って感じだった。
    どこから見ても役者の息遣いを感じ取れる中央囲み舞台。
    休憩込約2時間40分。
    終演後、出演によるアフタートーク実施。
    質問したい事があったが自己の都合で途中までしか聞けず。

    4/18 アフタートーク部分記述。発言の部分省略あり。

    ネタバレBOX

    秋岡、高崎、古賀、タキは、それぞれどういう思いでシズと接していたんだろう、とか聞いてみたかった。

    終演後、司会に中井美穂さんと芸術監督の宮田慶子さんと私服に着替えた役者陣がステージ登壇、60分+αのアフタートーク開始。
    司会/中井 並び/千葉、山西、古河、高島、宮田

    ・上演のきっかけ
    宮田/もともと自分でやりたかった作品。作品同様、領土問題等あたらめて考えななければならない。2年前に(上演を)決めた。それから益々キナ臭くなったが、なぜ「マニラ」で「瑞穂」なのだろうと。秋元さんはなぜ、このタイトルを付けたのか、若い人にはわからないのではないか。2つの国をくっつけるのは問題提起でもあり希望や願いでもあり。一演出家としてみれば、栗山演出ならではのこの空間(四方囲み舞台)になった。

    ・キャストについて→研修生を多く使ってベテランを入れるのは元々の狙い通り?
    宮田/実習でもやった事あるが、中身、実年齢はもっと若い。若いうち苦労しながらも生命力持っている。今回は修了生多く選んだ。またベテラン陣はこの世界をがっつりくんでる3人を選んだ。
    ・千葉/演出家として最初この本を読んだ時の印象は
    →わかんなかった。九州弁で書いてるんで。秋元さんは元々横浜の人。辞書を片手に美しい日本語として書いた(らしい)が、どこで句読点つけていいかわからなかった。(いつも激しい役やっているが)本当は静かな性格、古河さんみたいな役やりたいなー。
    山西/正直よくわからなかった。マニラ〜なんて読むの?あー、みずほ、あー、日本と読むのかとわかった。明治時代中期の話だが、こういう時代あったのかーと読んでいくうち、歴史の勉強というより、一人一人が面白く描かれているなーと思ってやった。
    古河/「長い墓標〜」以来の出演。政治の話は嫌いじゃない。この作品の(研修生?の)試演会をやったのを見た事あるが、見てもわからなかったが、見て読んで、改めて「あ、なるほど、細かい所がこうなのか」とわかった。
    高島/今回、着物着て日本髪結って演っている。以前(研修生)見たら印象が強烈だった。政治の話は難しかったが演じるのを見て、知れば知る程、面白い。

    ・女性に対する部分は栗山さんの色が強いのでは
    高島/叫びとか、勝手に女性を代表して言っていると思う。シズが日章旗に手を伸ばす場面があるが、もともと台本になく、これは演出として入れた。
    山西/(火をつける場面があるが)火をつけて興奮してると解釈した。でも最後ここに置いていくんかい〜、ってなるんですがね。
    ・稽古場の様子
    千葉/(山西さん、千葉さんは初共演だがどんな感じか)一個しか年違う、(山西さんは)先輩です、僕ベテランぢゃないんで若手なんでw(と言い張る)。本読みは短かった、栗山さんが忙しいから。3時〜6時の3時間、10日間くらい。九州弁が暗号みたいだった。(千葉さんは)東京の出身、九州弁の練習用テープの中身が台詞聞いていると「〜〜あ、間違えた」とたどたどしいので、もういいかっと(止めた)焼肉ドラゴンの時の大阪弁は上り下がりがあって、それと比べたら(九州弁は)平らの発音なので(苦労した)山西さんが羨ましいなー、標準語かーと。
    山西/僕、京都(出身)なので、こんな「べんらんめぇ」口調って(あまり使った事ないけど)面白いですね。明治31年の話、秋岡と高崎のおじいちゃんおばあちゃん、親の世代は江戸時代の人?明治維新を体験した世代、それが天皇について(~語っているし)

    ・高崎、秋岡の人物像とは
    山西/人物像?この時代の役人なので家柄は良かったと思うけど、高崎のお父さんお母さんは小さい頃から善悪について教えていたのでは。キリスト教の影響が大きいと思う。(→高崎さんはモノマネ好きですよね)あれは栗山さんの無茶ぶりで。稽古終盤「天皇のイメージでやって」「そこの一文、キリストで」それらが好きな人と云う事にしましょうで、やるようになった。高崎は秋岡にはなれないから、憧れがあったのでは。
    千葉/秋岡役の人物、モデルがいるが元々、女衒(ゼゲン)を生業としていた。37歳くらいの人、いいんですか?(千葉さん)50歳で。写真見るとかっこいい、自伝も書いているが物凄く喰わせもんだと思うが、台本上は純粋な人。たまたま威張っているけど実は女の人に転がされるイメージなんでは。お金持っているけど使い方間違っている。
    →古河さんと高島さんはこの職業の事は知らなかったそう。これについて職業補足説明あり(明治時代、国業として認められていた職業、外貨獲得の為の斡旋業、等)
    ・タキについて。役のアプローチ
    高島/最初、そこまでリーダー格とは思わずやっていくうちに秋岡との関係の深さが自然に周りもそうなったのでは。
    宮田/「からゆきさん」という宮本研さんの作品あるので。秋元さんとは違う視点の作品。「捨てられたら捨てかえて〜」って台詞があるが吉原とは違うシステム。一攫千金を夢見て作った。
    →その当時の繁栄ぶりやそこが社交場のような意図であった、とか。

    ・背景の話し合いはした?
    誰か忘れた/→作家の面白いところはその当時の領事とか女衒とか(近くに)一杯いて、会話が一緒になる。昔の領事館のイメージは今とは違うが。秋元さんの(この作品を)アメリカ敗戦した戦後間もない頃に書いたので、それも関係しているのでは。
    古河/映画見たり。日清・日露戦争を取り扱った作品があまりない。最近(の作品)だと「坂の上の雲」見て。軍人はその当時は憧れの職業だが、(この舞台では)あまりカッコ良くさせたくないと、栗山さんは考えていたのでは。女達の台詞で口々に性格を見抜かれてしまう。
    山西/栗山さんは「教育」と言っていた。軍人は教育を受けて軍人になる。それが出ているのでは。

    ・女達にとって秋岡はどんな存在なのか
    →なくてはならない存在、仕事するには秋岡がいないと出来ないし、絶対になくてはならない存在。トップとしている存在。泥棒稼業でいきなりトップいなくなるけど。
    ・話の流れで秋元さんの描く女性は逞しい、最近の男性は弱々しくなった、云々
    千葉/(役柄上、実際にも自分が)こういう人だと思われてるんですよ。幼稚園では一番後ろにつくタイプ。人気者に順番譲ってまた先行かせて、いつまでたっても自分の番が廻ってこないっていう。→ここで山西さんの「誤解を与える役割。(真の千葉さんは)ヒドくないです」とフォロー?に千葉さん爆笑。
    山西/(自分の性格と役柄?)客観視している部分は共通しているかも。誰とでも均等に接するが、今回みたいな役柄のような濃い関係はない。普段の生活でもない、舞台だから出来る。→(千葉、舞台だからああいう切れ方をするんじゃないかな、でやっている)
    初演では四幕あって、あの後、2年6ヶ月後が描かれている(らしい)。読んでいないけど。秋元さんが戯曲全集作るとき、ご自身がカットしたらしいが、その設定を聞いたらウィルソンの嫁が出てきたり、高崎はオーストラリアに赴任しているらしい。火をつけたのにー。或いは淡路に「すまんが替わりに火をつけた事にしてくれんか」って言って全て罪着せて肩代わりさせたのかもw。
    古河/(最後)どうやられたのか、意識ないのでよくわからない。(伝達役の彼は)オッチョコチョイなので「致命傷ではないと思います‥!」と言っていたが、遅刻もするような彼なので、あーもうダメかもー、とも思いますw

    Q&A
    ・台本もらって稽古までの間は何をしているか
    千葉/台詞を覚えている。わからない単語を調べたり(例「ステレツ」→花街とか)歴史物は大変、ドラえもんが欲しいw (台本の)字が小ちゃかった、上下に分かれて(書かれて)るし。
    山西/(参考に)今村昌平監督の映画「女衒」見た。面白いですよー。
    あとは他の仕事してた(→千葉さんから「マニラ」と「相棒」でしょ?w) (台本)読んで覚えて途中で寝て(の繰り返し)
    例えば「おめぇも変わったなー」という台詞、流れとかしっくり来ないと台詞も入ってこない。台本置いてボーっとして言えるまで待っとく。自分の中で理由を探して徐々に言えるようにしている。
    古河/比較的時間あったので、勝手に(脳内)キャスティング設定して遊んでた。
    高島/ひたすら方言のCDをリピートして。耳で覚えた。後はDVDとか手がかりになるものを漁った。

    ・役づくりについて
    千葉/現場で人の台詞を聞いて考える。大きな声の人なんだろうな、とか、思考の回転が早い、とか。
    山西/秋岡と拮抗する役。最初カッコいい役だと思っていたら栗山さんが大らかで良いのでは、と。この人が領事で良いのかと思う位。これで段々と臆病者だと(わかるようにした) 千葉さんとやり取りして見えてくる部分があった。
    古河/悪役なんだなーと思って。悪人然としてやろうとしていたが、信念ある人の行為もある。意表をつかれた。
    高島/色々やって栗山さんから「頭が良すぎる」と言われる。教育も受けていないのに(予め)行動がわかって(演って)いる。キリストの所も真似の仕方とか、発見あった。
    話の流れで→若手に言いたい事は
    千葉/滑舌良すぎる。テレビもあるし。怒る時どこかインプットされている。演じる事がわかっている。そこに立って生きる事、等が大事。
    山西/本当にそうだと思う。上手い事は大事だけど、上手けりゃ良いのかと。これ言うと役者としてねー、また大変〜。

    まだトークは続いていたが、都合で記述ここまで。



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    2014/04/09 16:21

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