満足度★★★★★
こ、これは・・・・
確かに問題作だ~。この舞台上で展開されるように、人が知りたくなかった真実、触れる必要の無かった事実に迫るという行為自体は、報道においても、日常的な会話においても確かに大きなタブーなのだろう。ただ、大きな悲劇に見舞われた後、様々な形で生き残った人間にとって、告発され、認識し、告白するという試練は、これからも生きていくためのステップを踏み出すために、避けては通れないイニシエーションなのだということをこの舞台は教えてくれる。私たちが被災地の報道に対して感じる鬱憤、義憤、モヤモヤ、進まない復興への苛立ちのおおもとは、実はこんなところにあったのだ、とショックを受けた。
無かったことにはできない判断ミス、ほんの少しの悪意、コントロール不可能な生存本能、人はこれらと向かい合って初めて自分というものを知り、よろめきながらも前へ進める。見つめること、告白すること、それはなんと私たち日本人が普段ないがしろにしている行為であることか。「過ぎてしまったことを言っても仕方がない」「今更そんなことを掘り返してどうする」という文化の中では対応しきれない大きな悲劇もあるのだ。しかしそれは、あまりにも私たちの日常から遠く、理解不可能な感覚だ。毀誉褒貶こそこの作品に対する最高の賛辞だと思います。