次のインタビュアーは 私たち自身 かもしれない
東日本大震災を報じるニュースは「美談」に終始してしまったのではないか。
支援物質に行列を作り、暴動すら発生しない日本人を「世界中のメディアが賞賛した」らしい。
ただ、そうした「美談」に隠れ、仮設住宅内での家庭内暴力が 多数あったこともやはり事実である。
ジェンダー活動家Aさんによると、既婚男性を中心に「震災と失業に伴うストレスからアルコール依存症に陥った」例が報告されたという。 その解消方法こそ暴力であった。
福島第一原発が放出した放射線物質から子供を守るため、県在住の母親が「疎開」する例も「美談」とは いかない。
どういう視点で「人の本性」が伺えるのかといえば「被災者同士の敵対心」である。
これは、津波に、または原発事故に呑まれた被災者同士が助け合い、明日へ向かい復興する「美談」とは180℃違う。
いわき市から新宿区内に疎開(2012年 当時)した元薬剤師・女性Bさんは こう教えてくれた。
「言いたくはないですけど、20キロ圏内の住民は一人につき20万円補償金貰ってるそうですね。赤ちゃんも含まれています。一家4人だとしたら月100万円なんです。結構、いい金額ですよね。
家に帰れない苦しみもあるとは思いますが、わたしたち20キロ圏外の住民は1円も補償金貰ってません」
この女性Bさん に「被災者同士、『がんばろう、日本』の精神で助け合いなさい!」と批判するのは簡単だろう。
だが、これが「被災者」のリアルな姿だという真実を忘れてはならない。
坂上忍氏はバラエティー番組等に出演し、「潔癖キャラ」が浸透したタレントである。
最近だと「処世術本」も出版した。
坂上忍氏の「生き方」、それは「孤立を怖れない」だと思う。
本舞台は東日本大震災より一年経過した架空の「茨城沖大震災」を描くわけだが、「美談」なる和紙を破り捨ててしまう人間ドラマであった。
キャスト陣が「感情移入」させる迫真であり、やや本多劇場のキャパシティだと(座席次第で)表情を把握できないが、効果的照明ピッチのためその「空間」は味わえた。
人間は「利益第一主義」である。
あらゆる行動において、自らの短期的、長期的利益を保持するのが「本能」である。
でも「ええじゃないか」。
坂上忍氏の冷たいぬくもり