グローバル・ベイビー・ファクトリー Global Baby Factory 公演情報 劇団印象-indian elephant-「グローバル・ベイビー・ファクトリー Global Baby Factory」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    素晴らしい!!!
    難しい問題を自然な流れで筋道立てて描き、真面目にしかも面白く仕上げた秀作でした。

    ネタバレBOX

    代理出産という難しい問題について、依頼する側、受け入れる側、報道する側の立場から焦点を当てた素晴らしい作品でした。ついでに言うと、精子ちゃんや卵子ちゃん、胎児にもスポットが当たっていました。

    不自然さは全く感じられませんでした。結婚なんて全く考えていなかったキャリアウーマンの砂子が結婚に至る過程から代理母を依頼するに及ぶ経緯も自然な流れでした。

    インド取材もされたということで、インドにおける受け入れ側の事情やクリニックの様子も良く分かりました。自宅で静養しながら普段の生活を送っているのかと思っていましたが、クリニック内で食事や健康面を管理されながら暮らしていることを知り、まるでお蚕さんのようだと思いました。お腹の子に感情移入し過ぎないという心の持ちようには、胎児の成長には逆効果なような気もしますが、代理母の大変さが窺えます。

    報道側が指摘した搾取という言葉は重かったです。しかし、インド人に1百万円払うのが搾取で、アメリカ人に30百万円払うのは搾取じゃないのか、自宅が建てられるぐらいのお金を払っても搾取と言われるのかと考えてしまいます。

    そもそも論については本当に難しい問題だと思います。自分の遺伝子を残す方法があるのなら利用したいという気持ちは分かります。依頼する側が我が子には他人の産道を通ってほしくないからと帝王切開を希望するというのも良く分かります。しかし、そこまで行くと、餌を与えて太らせて、太ったら腹を切り裂いて取り出すまさにフォアグラ工場のようで、依頼する側も真摯な気持ちを持つことが大切だと思いました。

    インドから赤ちゃんと一緒に帰り普段の生活に戻った砂子ですが、日常生活に急に一仕事増えてしまったような負担感を感じ、本当は赤ちゃんに対して愛情を感じていないのではないかと示唆させるような一瞬の間がラストシーンにはありました。よっこいしょと言いながら動いたり、それこそ腹を痛めることがやはり母性の醸成には必要なことなのかとガツンとやられましたが、そんなことを言い出したら養子の親子関係は成立しなくなり、決してそうではない、これから真の母性が芽生えるのだと信じたくなりました。

    ところで、精子や卵子が登場すると、普通はおちゃらけてしまって失敗するものと思っていましたが、ストーリーに上手く溶けこんでいました。精子というと男性という発想になりますが、女性が演じたのも効果的だったように思います。簡潔な着ぐるみも良かったです。

    夫の勤務先が包装資材に関する会社というのも、子宮頸がんの説明や精子を採取する際の小ネタに利用されていて、考え抜かれた演出に感服しました。

    難しい問題をこんなに面白く描けるなんて本当に素晴らしいと思いました。

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    2014/03/29 11:25

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