満足度★★★★★
■変幻自在なる時空間を駆け巡る疾走感と人情
■現在と過去と未来が交錯しながら「今」を真摯に生きる人間の可能性を示してくれる物語の展開が興味深い。
それぞれの役者の素質を活かす絶妙なキャスティングも成功している。役者たちは、それぞれの技量を活かしながらも、常に相手の動きを理解してチームとして見事に立ち回る。殺陣の疾走感と男性役者たちの人情味あふれるふるまいが爽快でかっこよい。女性役者たちの芯のつよさと洗練されたたたずまいも見事で、かっこよい。
音楽も美術も小道具も照明もバランスがよく、全体の流れがうまく統一されていた。今回の演劇作品は、総合的に見事な構成によって大成功している。あらゆる要素を美しく整えてまとめあげるという意味で、すぐれた脚本の力によるところが大きい。 板張りの背景は最小限度の装飾だけで、結局は役者ひとりひとりの演技力が観客の想像力をかきたてていることで無限の世界が広がるように工夫されている。
観客の気持ちをあたためて幕が閉じる。人間の可能性を信じることのよろこびを実感させる舞台である。役者さんそれぞれの「いちずさ」が魅力的であった。うらおもてがまったくない、まっすぐな人間性が、この劇団の特長なのだとおもう。今後も期待している!