悪霊 公演情報 地点「悪霊」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    切実で滑稽な堂々巡り
    ドストエフスキーの長編小説を100分に構成した作品で、信仰や社会革命についての回りくどい台詞が続き、内容としてはあまり飲み込めなかったにも関わらず、圧倒的なパフォーマンスに何とも言い難い感情が刺激されました。

    開演前から勢いを変えながら絶えず降り続ける雪(発泡スチロール製でリアルな降り方でした)の中で、語り手であるGは舞台の外周部を反時計回りに走り続け、他の登場人物達も同様に走ったり取っ組み合ったりしながらで地点ならではの奇妙なイントネーションとリズムによる台詞が飛び交い、堂々巡りが会話と動きで表現されていました。
    雪も動きも止まり、静寂が支配する時間が美しく、真っ白だった空間に衣装を脱ぐことによって色が現れる終盤が印象的でした。

    シリアスなテーマを扱っていながらも所々にばかばかしい表現が盛り込まれ、切実さと滑稽さがお互いを際立たせていました。台詞の文節の仕方によって真面目な台詞を一瞬シュールに聞こえさせる手法が効果的に使われていました。

    客席エリアに比べてはるかに広い演技エリアは中央部分に向かって2段刳り貫かれて底が見えない形状となっていて、それを活かした役者を見せない演出が印象的でした。
    地響きあるいは遠い雷鳴の様な低音、銃声、アヴェ・マリアと歌う合唱の断片が交錯する、緊張感のある音響デザインが素晴らしかったです。
    おそらく柔道着をリメイクした衣装が格好良く、また何度も行われる取っ組み合いにも呼応していて良かったです。

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    2014/03/24 23:41

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