期待度♪♪♪♪♪
「出逢い」の魔法使い
『く口ひげ』は、世界を舞台にした劇団といってもよい。
今年2月開催された、国際舞台芸術ミーティングin横浜 出展作の演出を、北村美岬は担当した。
「何か見覚えがあるぞ…!」とクレジットを確認すれば、あの『く口ひげ』表記が。
以下、出展作の概要_
『宮永啄生ディレクセッション 』
【写真は未来への贈り物です。
あなたが見ているレンズの先には未来の誰かが覗いています。
これは写真の展示という形式を借りた「演劇」です。
衣服はそれぞれ物語を持っています。
その服を着れば誰でもその物語の主人公になれるのです。
これは衣服の展示という形式を借りた「演劇」です。
あなたに訊きたいことがあります。
その質問に答えは必要ありません。
これは言葉の展示という形式を借りた「演劇」です。】
この劇団は手料理が美味しい。
ロビーでスープ一杯を ご馳走になることができるそうだが、早く喫茶店経営をしなければならない。
お腹を温めたら次は舞台だ。
アメイジングな時間空間が流れ出す その現実に、おそらく困惑するだろう。
「出逢い」を スローテンポに、また、性善説的なバリアで空間全体を 覆ってしまう。
ただ 物語の筋に則り、キャストが進行するのではなく、深海にクラゲが漂うように自然な存在の仕方を している。
感情を通し、観客を「楽しい」「悲しい」といった方向に誘導しない。
そのアメイジングな時間空間を、「客席と舞台」という関係性を超えた、非常に 慎ましやかな「一時」として成立させている。
それは、『く口ひげ』が振る舞う スープの味に反映する。
『グリとグラ』の絵本に再び浸りたい大人はぜひ 「一時」を味わってほしい。