ミエナイ家族のハロー・マイ・ゴースト 公演情報 空飛ぶ猫☆魂「ミエナイ家族のハロー・マイ・ゴースト」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    一緒に。
    今回は『家族物』でした。
    前作の『サヨナラ誘拐犯のパーフェクト・ストーリー』も家族の要素が強かったので、事前に「初の家族モノです」的な記述を見て、「前回もじゃなかったっけ??」と思ったりもしたのですが(前回のはカテゴライズ的には「誘拐物」とのことでした)
    そして、今回の冒頭のシーンが完全にバカップルだったので、「家族物???」と思ってしまったのですが、終わってみれば、本当に家族の話でした。

    ネタバレBOX

    「ご飯、食べたくない?」
    「食べたい。でも、食べれない」

    恋人の作った料理が食べたい。でも、食べれない。
    満腹だからでも、体調が悪いでもなく、
    幽霊だから。

    恋人と結婚の約束をしていた女性。
    叶わぬまま、事故で亡くなってしまった恋人。

    その設定の記述はパンフレット等にもされてたのですが、私はなんでだか頭の中から飛ばして観劇していたので、ちょっとだけ本気で「なんだこのやりとり」的に観てました。
    本当、若干、イラッ☆とするくらいのラブラブバカップルでした。
    素で見たら、片方が幽霊だなんて思えないくらいの。
    でも、2人でいて、お互いがお互いには見えていているのだから、それは当たり前なんでしょう。
    だから、本気で「幸せだよ」とも言える。

    でも、2人だけで生きているわけでなくて、他の人とも関わっていて、他の人には彼は見えないし、言葉も聞こえない。
    2人だけなら、問題はない。
    2人だけじゃないから、大問題。
    それでも、2人でいたいから「幽霊と結婚します」と宣言しようとするし、してしまう。
    今回の話の軸はそんな感じでした。

    2人だけだった彼女の部屋に、共通の友人がやってくる。
    その友人は彼女のことが好き。多分、恋人のことは忘れてほしい。
    なのに、彼は彼女にしか見えなかった恋人のことが条件付きで見えてしまう。
    その為、彼女が家族に恋人を紹介することに協力することになってしまう。
    「好きなら協力してよ!」って言ってしまう彼女は凄いと思います。でも、それで協力しちゃう彼もいいヤツですよね。とんでもなく頭が弱い感じでしたが。
    その友人役が西興一郎さんで、↑であげたリストの作品でも4作、今回で5作目だったんですが……回を重ねるごとに扱いの酷い役になってる気がですね………とてもとても素敵だと思います(なんだそりゃ)
    「simple」は本当、1人で芸能人!!って感じもあったので……お客様感がなくなった感じと言うか。
    昨年の夏の公演の終盤で関西弁で気持ちを吐露するシーンはとても素敵でした。

    そういえば、昨年の夏公演はずっと話題としては恋人が出てくるけど、実際には一切、出てこなくて(死んだ恋人の四十九日に元彼が集まるという話だったので。実際には死んではいなかったんですが)
    でも、今年はずっと一緒にいる話でしたね。
    昨年は実際には生きていて、今年は実際には死んでしまってるわけですが。
    探偵さんはマリアさんと幸せになれたんでしょうか。
    演じられたのが佐々木さんで、今回の幽霊役も佐々木さんなので被るモノもありました。
    (でもって、昨年の楽日に佐々木さんはカーテンコールでプロポーズされて新婚ホヤホヤです。他人さまのプロポーズを目の前で観たのも昨年の観劇の思い出です)

    友人が彼のことを見える条件が携帯の着メロでした。
    鈴木亜美の「BE TOGETHER」をはじめとするTKメドレー。
    他の人の曲じゃ駄目。小室さんの曲でも曲によってはぼんやりしたりする。純度の違い?
    でも、メインでかかるのが亜美ちゃんの「BE TOGETHER」なので、それはそれで、それがメジャーなのはわかっちゃいるけど純正ではないよね……とも思ったりもしました。
    「BE TOGETHER」って曲が大事なのかな。一緒にって意味だしね。
    そして、イントロ1音でわかってしまう自分。
    ちょうど昨年の夏公演時にえんえん頭の中を巡ってた曲でした。
    同時期にやっていたaccessのツアーでカヴァーを披露していたので。
    なので、「BE TOGETHER」がかかる度に頭をよぎって、ちょっとだけ邪魔でした。ええもうめっさ上機嫌で歌い踊ってるのが……帰宅してから動画を見直し、今もこの感想を打ちつつ聴いております。
    音楽っていっぱいあるものなのに、それで被る?のはなんだか不思議な感じでしたね。まあ世代的にね!!ってのもありますね。多分。

    友人の名前は零(レイ)君。
    恋人のことは見えない彼女の家族。(父、弟、兄)

    「紹介します。霊です」
    そう言って、友人と一緒に幽霊の恋人を実家で父親に紹介する彼女。
    友人が恋人だと勘違いしてしまう彼女の父親。
    以降、いろんな勘違いやすれ違いが混ざり合って進んでいくストーリー。

    絡めて絡めて絡めて、ぐっちゃんこになりかけた感じを解いていく感じが好きです。
    観劇している側は全部、見えてる。
    でも、舞台の上で生きているキャラクターにとってはそうじゃない。全部が見えてるわけじゃない。
    だから、見てる側は「どうやってバラすの?」みたいな感じでドキドキするのです。
    シーンを重ねて重ねて、時間の感覚がいい意味でなくなりかける。
    観劇中は携帯を切ってしまっていて時間がわからなくて、どれだけ経過してるかわからないので、「今、どのあたり?」みたいな気分になるんです。話がギュッとなっていて、実際の経過時間よりも長い時間、観てる気になる。(いい意味で!!)

    バラバラになっていた家族の距離が戻っていく話、でした。
    多分、普通のセオリー通りの話なら、幽霊の彼は成仏してしまって、彼女は現実世界で生きて行くのが妥当な展開でしょう。
    でも、彼は「でも、ずっと、そばにいます」と言い切る。
    それしか、出来ない。
    でも、
    それは出来る。
    それが、彼女の幸せ。
    普通なら否定される。それでも、それが、彼女の幸せ。

    「家族が増えた」

    そう言って、閉じられるストーリー。
    解釈によっては何も解決してません。
    家族の関係は修復されたかもですが、幽霊と結婚するとか言い続けてしまってる彼女。
    普通なら、問題が残りまくりです。
    それでも、そういう『普通』じゃなくてもいい。
    そういうお話でした。
    ちょっと普通からは外れてしまってるかもですが、それでも彼女はとてもとても素敵で、とてもとても幸福だと思います。

    恋人が幽霊だったら、
    他の人から認めてもらうことを望んだりしなければ、普通よりも幸福だったりするかもしれません。
    出来ないこと、いっぱい発生しそうですけど、せずにすむこともいっぱいありそうですから。
    ずっと一緒にいてくれる。自分とだけ一緒にいてくれる。
    それは、ある意味では理想的かもしれません。
    一緒にいることが出来る。
    一緒にいることしか出来ない。
    それじゃ恋愛関係は成立しなくなってしまうかもしれない。
    でも、『家族』みたいにずっと一緒にいられるかもしれません。


    日替わりゲストさんのシーンも凄かったです。
    本当に話の終盤に出てきはるので……というか、「ゲスト出るんじゃなかったっけ??」みたいな感じで物語の大半が締められた感じになってからの登場だったので。
    劇団本公演との一番の違い、なんでしょうね。もう本当に、嵐、みたいな。
    今回は千秋楽のみの観劇だったんですが、他の方の回も観たかったです!!!!
    昨年の夏は2ステージ観たのですが、もう全然違うシーンのようでしたから。

    全体を通して、温かい作品でした。
    家族物、ですもんね。
    重い要素もいろんな所に散りばめられてましたが。
    そして、冷静に考えると、そのどれもが根本的な解決にはなってない気もするのですが。
    それでも、最後にちゃんと前を向いている作品でした。

    簡単に解決なんてしない。でも、それでいい。
    それをしっかり抱えて、進んでく。抱えたままでいい。
    そんな感じが、します。

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    2014/03/14 15:54

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