満足度★★★★
批評性の強い作品
中津留章仁氏の魅力は、社会にある様々な問題を、一度観念的に拾い出して、それを演劇のダイナミズムに力技で組み直すというようなものだと思っている。
今作の印象は、私が観た中津留作品の中で、最も観念的な作品だと思った。演劇のダイナミズムよりも、観念が先行しているように思った。
その点は物足りなく思ったが、全否定という訳でもない。
その分、作品の中にある複雑さや分裂は、今まで見た作品の中で最も大きかったように思う。その点はとてもよかった。
作品テーマも、今日社会で最も問題になっている、拗れてしまった正義と暴力の問題。
架空の都市での話だが、日本と近隣諸国との関係のようでもあり、イラクなど中東の話のようでもあり、、、
そこに、なんとか解決策を見出そうという作者の意志が素晴らしいと思った。
ただ、一点とても気になることがあったが、、、それはネタバレBOXで。