若手演出家コンクー2013 最終審会  公演情報 一般社団法人 日本演出者協会「若手演出家コンクー2013 最終審会 」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    「山の声ーある登山者の追想ー」
    審査員の一人が言っていた
    「大竹野戯曲でコンクールに出ると言う志がまず素晴らしい」
    という言葉に、観劇前の自分の心情は尽きるように思う。

    多少でも舞台の上の世界に思い入れのある人ならだれでも、
    賞の付くコンクールに大竹野戯曲の、しかも登山もので臨むという覚悟に
    息を呑んでしまうんではないんだろうか・・(苦笑

    しかも演出家が出る二人芝居・・

    これは、あの狭い「劇」小劇場のステージがボクシングのリングに変わるに違いないという期待を持たずにはいられないんでは(笑

    いつもはチラシを見てもどんなんだかよくわからない舞台の連続。

    そんな中で、劇場に向かう足取りがこれだけ軽い日。

    自分はサッカーを見に行くと、目の前のサイドの選手がボールを持つといつも「勝負、勝負!」と大きく声をかけるんだけど、
    きょうはそんな必要もないんだよね?

    だって、演出家が勝負を掛けてることは目に見えてるんだもの(笑

    簡素な舞台。

    さっきと同じ審査員がピーター・ブルックの名前を出したけど、自分も同感だった。

    美しい。

    冬山のように。

    この世の果て、地獄。

    あるいはそこと対極にある、生まれたばかりの赤子のまるまるとした温かみ。

    夢と現実、生と死。

    ネタバレBOX

    命が尽き果てる瞬間は、こんなにも懐かしく美しいのか。

    言葉と肉体。拮抗して。

    ついに劇作家という名称を獲得せずに会社員として死んだ、素晴らしい作家の珠玉の言葉、世界。

    ただしそれには、塩屋から六甲を抜けて宝塚からさらに自宅までを駆け抜ける強靭な肉体の存在を感じさせねばならない。

    至難。

    でも、演出家はそれに成功したといって良いのではないだろうか?あるいは大竹野戯曲をこれだけのレベルでコンクールに持ってきた事実に目がくらんでしまっただけなのか(苦笑

    現在の演劇の王道とは違うかもしれない。

    でも、10年後の王道はこちらだろうと思う。そうでなければ、演劇なんか誰も観ない。
    勝負しなければ。命尽きるまで。台詞が尽きるまで・・。

    高い山に登り続けて、生きて還ってきた者だけが、10年後にも舞台の上に
    建っていられるんではないかな・・

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    2014/03/08 00:22

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