満足度★★
輝く闇
ドン・キホーテの目を通して現代の日本を描き、正しいと思っている価値観について問い掛けて来る様な作品でした。
ドン・キホーテとサンチョ・パンサ(そして2人が乗る馬とロバも)が現代の日本に迷い混み、光に覆い尽され闇が無くなってしまった世の中をシニカルに描くコメディータッチの前半と、原発事故による避難地域を思わせる場所にいる動物達を描いたシリアスな後半からなる物語でした。
前半はエピソードの繋がりが弱くてドラマとしての流れが悪く、また沢山盛り込んだ笑いが滑り気味にも感じられて乗れませんでしたが、後半の悲しく美しいファンタジー的世界が魅力的で引き込まれました。
素舞台にジャングルジム状のセットとスクリーンがあるだけの空間の中で、全身白塗りで最小限の布を纏った大駱駝艦の8人の舞踏手が多彩な身体表現を用いて様々な情景を生み出していたのが魅力的でした。
闇=分かり難さにも価値があることを訴える内容の割には演出が分かり易く、もう少し突き放したり考えさせたりする表現があっても良いと思いました。
野村萬斎さんの台詞回しが明瞭かつ深みがあって、良かったです。