満足度★★★
駄目で愛おしい男達
荒川良々さん本人を思わせる人物の一生をコミカルに描いた作品で、全員男性の出演者達の濃いキャラクターが魅力的でした。
建物と建物の間の隙間に嵌って抜け出せなくなってしまった男の幼少期から死後までの様々なエピソードが時系列に従わずに行ったり来たりしながら展開し、先輩や付き人等の周囲の人達も含めて冴えない駄目男ながらも全員が愛おしく感じられる物語でした。
分かり易いベタなものから下ネタ、ブラックなものまで笑いが多く盛り込まれていて、その中に人生の掛け替えの無さを感じさせました。
隙間に挟まった男という設定は面白いのですが、それがあまり活かされていなかったのが勿体なかったです(同じくノゾエさんの『マイサンシャイン』も壁の穴から抜け出せなくなった人の話でしたが、上半身と下半身が分断されている状況が内容と密接に繋がっていました)。
両サイドと奥が壁で囲われた空間の中で左右にスライドする3枚の壁を用いてトリッキーに人の出捌けを行って次々に異なるシーンへ繋がるのが良かったです。
飄々とした荒川さん、暑苦しい赤堀さん、小動物的な小野寺さん、芸達者なはえぎわメンバー達と、それぞれの個性が強く出ていて楽しかったです。