暗闇のもぐら 公演情報 イチハラ会「暗闇のもぐら」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★

    秋葉原無差別殺傷事件
    テレビでの報道を観て、こんなことが現実に起こるのか・・・と衝撃を受けた、6年前のあの事件。
    あの事件が元になっているお芝居。
    まだ二回目のイチハラ会観劇なのですが、過去公演でも実際に現実で起こった事件を、櫟原さん的に掘り下げている作品が多いらしく、今回も。
    しかし、凄惨なばかりではなく、かなりの部分で遊び心が盛り込まれていて、緩急のバランスが良く。
    特に米山さんオンステージ部分は、もう彼女はほんとうにイベントやったらいいのに、むしろやるべきだ、と思いました(笑)

    ネタバレBOX

    アイドル好きで広く知られている、米山さん。
    その彼女が地下アイドルに扮し、チラシで着ているようなビラビラ衣装を着て歌い踊りMCをする姿。
    来るべき時が来たな・・・と思いました(笑)

    お芝居は、その地下アイドルのライブシーンから始まる。
    そこに来ていた唯一の客が、突然包丁をアイドルに突きつける、殺傷事件の彼。
    事件を起こす前、トラックで秋葉原の人混みに突っ込む直前のお話。
    あれ、そういえば、なんであの男はライブに来たんだったっけか・・・思い出せない。

    縛り上げ包丁を突きつけることがきっかけで、彼はアイドルと対話を始める、自分のやろうとしていること、抱えている心の傷などを語り始める。
    このアイドルが、縛られ包丁つきつけられてるのに、強い。
    彼が弱いところを見せ始めたとたん、キレて、方言で彼を罵倒し始める。
    アイドルの怒りは、わたしの怒りでもある、アイドルだって本当は強いわけじゃない、でも頑張って生きてるんだ、最高に共感でした。
    誰でも乗り越えて歯くいしばって生きてるんだよと。
    うだうだ、うだうだ、自分だけ辛い、自分だけ可哀そうなんて思ってる人間、大嫌いだ。
    わたしが彼に言ってやりたいこと、全部言ってくれたから、そりゃあもう拍手喝采したいくらい、すっきりしましたよ(笑)

    最後、アイドルは彼に、友人になろうと言う。
    優しい子だな・・・と思いました。
    分かり合えた、分かった、そして分かってもらえた、その喜びでキラキラした笑顔で、人生賭けた彼女の初ライブの、唯一の客だった彼に、最期まで楽しんでいってくれとマイクを持つ。
    その彼女に、彼は背を向けて去ってゆく、秋葉原へ事件を起こしに。
    その出て行った無人のドアへ向けて独白する彼女の、あの表情がたまらなかった。

    解釈は様々な部分なのですが・・・わたしは彼は事件を起こしたのだと思ってます。
    最後に入ってきた客は、戻ってきた彼ではなく、別の人。
    心を込めて伝えた思い、言葉は、それでも彼には届ききらず、彼はやはり行ってしまったのだと。
    どんなに伝えたいと思っても、届かぬ想いがあるのだという哀しい現実。
    それがたまらなく胸を締め付けられ、そしてリアルだとも思いました。


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    2014/02/03 10:56

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