電磁装甲兵ルルルルルルル 公演情報 あひるなんちゃら「電磁装甲兵ルルルルルルル」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    ミクニヤナイハラプロジェクト『シーザーの戦略的な孤独』
    と、妙な符合がある。
    まず、上演時間がどちらも約70分………。
    ということではなく。

    あひるなんちゃら的ディストピアに繰り広げられるSFロボット大戦。
    というのは、深読みしすぎ。

    で、いつもの感じで笑った。
    面白いぞ。

    ネタバレBOX

    てっきり、なんか、そういうロボットの周辺でうろうろする話かと思っていた。
    たしかにウロウロするのだけれど、ロボットが直接的に関係してくる。

    冒頭からの展開は、いつもの、あひるなんちゃら節。
    わけのわからないことを、平常のような顔をして語る人たちと、しょーがないなという諦めの中で、突っ込む人たちの会話が繰り広げられる。
    そのあたりは、観客はいつものように、力なく、笑う。

    どうやら別の宇宙から攻めてきているらしい。
    「電磁装甲兵ルルルルルルル」はそれに対抗するロボットということだ。
    なのに、ホントにこんな人たちに任せていいのか、と思う人たちしか出てこない。
    地球は、それぐらい本当に危機にあるのだろう(笑)。

    今回のあひるなんちゃらは、いつもと違い、ストーリーでも見せる。
    (いつもは何も話が進まないのだが)

    意外と普通のコメディとしても面白い。
    ラストのテーマ曲を全員で歌うという趣向も最高だ。

    天才アオヤマ(篠本美帆さん)と、双子のマツナミ兄弟(兄:三瓶大介さん、弟:堀靖明さん)の3人が乗る3体のロボットが合体して、「電磁装甲兵ルルルルルルル」となる。
    しかし、まったく合体できない。
    天才アオヤマは、理不尽にも「自分は天才なので、兄弟が自分に合わせろ」と言う。

    双子のマツナミ兄弟は、そっくりで観客もなかなか区別がつかない。
    演出的には、弟を太らせるとか、弟にメガネをかけさせるとかしてほしかった。
    これは演出のミスではないか。

    終盤、可哀想なタナカ(根津茂尚さん)に、兄弟が見分け方を伝授するお陰で、観客の多くがやっと見分けられたと思う(なんと! 弟はメガネをかけていたのだ!)。
    さらに、司令がほっぺたに「兄」「弟」と書いてくれるので、それ以降、舞台を安心して観ることができたのだ。
    それなら、もっと早くやってほしかったと思う。

    今回も困った人のオンパレードで、ヨシナガ(宮本奈津実さん)、カトウ(三澤さきさん)の2人がかなり酷い(笑)。理解度が低かったり、ギャンブル依存症だったりと。
    こんな人がいたら周りは困るだろうな、と思っているとやっぱり困っているけど、諦めている。

    オペレーターの上司ノグチ(松木美路子さん)も、ちゃんとしていそうで、相当に困った人である。
    天才なアオヤマ(篠本美帆さん)は、都合の悪いことは聞こえないし、何の天才なのかわからないけど、司令官を操ることはできるらしい。

    彼らは自分の仕事を淡々とこなしてはいるが、下手すると滅んでしまう、この宇宙のことなんて案じていないようだ。
    コメディ的にはそうなんだろうけど、よくよく考えると少し恐い。

    会話しているようで、自己完結的、コミュニケシーションは成り立っていない。
    最初から自ら閉じてしまう人ばかり。
    唯一、可哀想なタナカには、パイロットになりたいという希望があるのだが、いとも簡単に打ち砕かれてしまう。
    登場人物たちの誰もが「未来」についての希望や願望については何も語らない。
    未来をかけての戦いなのに。

    ある意味、これは、この世界観は、ゆるいディストピアではないのか、あひるなんちゃら的なディストピア。
    そこに「いるだけ」の存在の人々。
    この宇宙が残ったとしても希望がないのではないか、ぐらいまで思ってしまった。

    唯一の希望は全員がテーマソングを歌うところ。
    それに笑いながら救われたのかもしれない。
    というのは深読みしすぎだね。

    この公演を観た翌日に、ミクニヤナイハラプロジェクト『シーザーの戦略的な孤独』を観たのだけど、その作品と合わせて考えると(いや、そんなことをする必要はないのだが)、誰もいない街、理不尽で、何だかわからないモノからの攻撃、「宇宙」のキーワード、そして、会話は成立しているが、根本的にはまったくつながっていない人々、つまり人々の孤独が見えてきてしまい、ひょっとしたら、この2作品の根っこは同じではないか、と思ってしまった。
    が、それは買い被りだよね。
    (上演時間がどちらも約70分ということも……笑)

    ということは、観ているときには感じてなかった。
    結局、わはは、とか、えへへ、とか笑って観ていただけ。
    つまり、単に面白かったのだ。

    あひるなんちゃらは、何回か前ぐらいから、公演の内容を録音し、終演後、すぐに販売している。
    たまに公演を観たあとに台本を買ったりすることもあるのだが、この企画は面白い。
    台本を読むよりもストレートだ。
    落語のCDを聞く感覚で楽しめる。
    どんな劇団にもマッチする方法ではないが、いいアイデアではないかと思う。
    DVDよりも簡単だし、劇団側も在庫のリスクがない。
    何より、終演後、今観た公演の音を、その場で買えるというのもいい。
    USBメモリを持参ならば、500円で購入できる。

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    2014/01/31 16:48

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