好みの問題かもしれません
ですから、私は★は、今回はつけないでおきます。評判を聞いていたので、最初から★★★★★くらいの思い入れもありましたけど、悲しいかな場面の要所以上に頻度多く使われる音楽に、私が自分で感じるのを邪魔され苦々しい思いです。
奇しくも同じ名を持つ二人の女性、名前だけでなくシンクロしている部分もかなりある二人ですが、この二人の女性の姿はそのまま、河原で懸命に石を積んでは何度も何度も鬼に崩される子どものようです。壊れ、破滅へと向かってしまうわけですが、その描きかたには飛躍はなく、この二人は不幸でありながらひとしてはまことにまっとうであると感じました。彼女らの慟哭に感情移入…と思いきや、そこで音楽。舌打ちものですよ(笑)
音楽が止んで ほの暗い中に浮かぶ 破滅してしまった二人の女性の姿は、悲しく絵画的に美しく見えた。甲斐荘楠音(岩井志麻子「ぼっけえ、きょうてえ」の表紙の画家)とか岸田劉生の感じ。
救い については この芝居では語られなかった。でも語られなかっただけで私はやはり最後に菩薩がいて初めて地獄が完成すると思います。
芝居の前半は 地獄そのものより 自分の聖域に 他人が、他の人間が無遠慮に踏み込んでくることに心理的な怖さを感じました。