ツレがウヨになりまして 公演情報 笑の内閣「ツレがウヨになりまして」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★

    きわめて切れ味のいい作品
    ここ数年、話題に上るようになった「ネット右翼」について 真正面から
    笑い抜くという、ありそうで実はなかった作品。 パロディも無理なく
    散りばめられ、とにかく笑いました。タイトルにまずセンスを感じます(笑

    ネタバレBOX

    大学生あおいの同棲相手、蒼甫(この辺の凝り具合がある意味
    すごい)は仕事先を一年持たずに辞めたばかりのいわゆるニート。
    中学の先輩の内藤に影響され、「日本は洗脳されている」と信じて
    疑わない、すごく単純な人。韓流スターとの握手会ばかり企画する
    スーパーや日本に批判的な大学教授に抗議活動を行う日々を
    過ごしている。

    その様が、警察の生活課係長であるあおいの父親にすっかり
    マークされており、迫る検挙の危機。あおいは何とか抗議活動を
    止めさせようと、蒼甫に迫るのだが…

    「そうですね!」でお馴染みの某番組を、「タモさんのウヨっていいとも」と
    パロったところに、まず大爆笑。確かにタモさんではありますけど(笑
    でも、実際のネット番組って、こんなノリなんだろうな…。

    難癖に近い講義を受けて面くらうスーパーの店主と内藤とのやり取り、
    「何がKARAだ。状況劇場でも呼んでおけ!」「唐十郎なんて呼んで
    どうするんですか!」とのやり取りも、本気で笑うよね。すみません、
    完全に演劇ネタです。

    終盤、あおいと別れ、恋人ができてすっかり抗議活動に力が
    入らなくなった内藤(「俺がモテないのは、日本が洗脳されている
    からだ」「俺は恋人が出来ないんじゃない。作らないだけだ!」とか
    言っちゃうイタい人)に見切りをつけて、一人で切腹しようとする蒼甫。

    三島由紀夫の格好している蒼甫もアレだけど、某陛下になりすました
    スーパーの店長に、感激して遺言を読み上げようとするところに、
    店長が「ああ、私に手紙はいいから~」とたしなめるところ。あそこが
    客席の笑いのハイライトだったと思います。客席が沸いたのなんの。
    はい、これは、某山本さんの園遊会でのアレをパロったものですね。

    笑いだけではなく、なかなか考えさせられるところもあり。

    私は、スーパーのバイト店員で、あおいの友人の子が、
    「あなた、なんでも韓国に結びつけようとするけど、本当は嫌い
    じゃなくて好きなんじゃないの!? だって、普通の人はそんなに
    韓国のことばっか考えて生活してないもん」

    いや、本当にそうだと思います。

    あと、係長が、「俺は国家権力の中枢にいる男だ。 …お前らが
    国を愛しているほどに、国はお前らを愛してなんかいないぞ」、

    係長の部下で、もと在日の警察官が、自分は在日だが国を愛するが
    ゆえに帰化して警察官になった、逆にお前は何をしているんだ、と
    蒼甫を喝破した上で、

    「恋愛も国への愛も同じ。自分の一人よがりの愛を相手にぶつけて
    いるだけ。それはストーカーの愛だろう」

    というところも良かったな。

    現代社会の風刺劇としては、バランスも取れていて、非常に良いと
    思います。ラストの爽やかさもいいです。

    0

    2013/12/30 17:58

    0

    0

このページのQRコードです。

拡大