グッドバイ 公演情報 シス・カンパニー「グッドバイ」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    お見事!妙味が詰まる芝居にじんわり
    信じられない程、素敵なお芝居でした。

    昭和の空気感と、程よい笑いと、情感とがマッチした、実に上出来の作品。

    5年前、劇作家セミナー同期に、大の北村想ファンの青年がいて、当時は、北村作品未見だったため、ただ彼の熱の籠った賛辞に耳を傾けていただけでしたが今回の舞台を観て、彼の気持ちがわかった気がしました。

    北村さんも、彼と同じように、熱く太宰を語る方かしら?作品から、太宰ファンの匂いを感じたのですが…。

    キャスティングが絶妙で、特に、屋台のおでん屋さんの半海さんは、もし私が今年の演劇賞の審査員なら、必ず、男優賞を差し上げます。(笑い)

    セットも、時折、壁に投写される文字も、何もかもとても素敵で、観ていて、笑みがこぼれました。

    寺十吾さんの演出も、とても洒落ていたのだと思います。

    まだ、今年の演劇、見納めてはいませんが、たぶん、これが私のベスト1作品になるでしょう。久しぶりに、亡き父に見せてあげたくなるような佳作でした。

    ネタバレBOX

    演劇好きな、昭和世代の大人向きの、洒落たお芝居でした。

    随所に、心を擽られる個所だらけ。

    蒼井優さんの豹変ぶりにはしてやられました。ただ、後の面接を断るほど、一目で驚愕するほどの美人という設定には、やや疑問も。私、蒼井さんを美人だと思ったことは一度もないので…。この頃、演技の質が、大竹しのぶさんに似てきたような気もして、やや今後に懐疑的な気持ちも湧きました。

    主役の段田さんは相変わらず、何をやらせても完璧な好演。黄村先生が、亡き奥様を思い出しながら、理七にパラソルを買うシーンは、まるで、チャップリンの「街の灯」を思い出すようなレトロな雰囲気。

    太宰好きな酔っ払い男、高橋さんの味わい深い演技には、ため息が出るし、少し、C調な大学の助手渡山の柄本さんは、何度かトチッタリする部分も、役柄に合っていて、逆に人物に具体性が出たのは儲けもの。

    山崎ハコさんは、私がラジオ番組で、曲を掛けていた頃は、ただもう暗い雰囲気の歌い手さんでしたが、年齢を重ねて、こんなに素敵な雰囲気の歌手になられたのかと感嘆してしまいました。彼女が、流しの歌手として歌う劇中歌「兄妹心中」の歌詞が、心に沁みました。

    でも、誰より、素敵だったのは、半海さんの、屋台のおでん屋さんの佇まい。
    黄村先生や理七の嘘も見抜いているのに、客の事情には、首を突っ込むことなく、そっと気持ちを察して、お酒を差し出す仕草に、何度、心を鷲掴みされたことやら…。惚れました!

    0

    2013/12/26 02:46

    0

    0

このページのQRコードです。

拡大